2019 Fiscal Year Research-status Report
術前門脈塞栓術の至適塞栓方法と肝肥大予測バイオマーカ探索
Project/Area Number |
19K17199
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
丸山 光也 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80770122)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 門脈塞栓術 / 肝肥大予測バイオマーカ― |
Outline of Annual Research Achievements |
門脈塞栓術は切除予定区域の門脈をあらかじめ塞栓することで、残存肝容量を増大させる手技である。安全に大量肝切除術を行うためには、残存予定肝を十分肥大させておく必要がある。しかし、どのような塞栓方法が最も効果的に残存予定肝を肥大させることができるかは、未だ明らかになっていない。さらに、十分な残存肝肥大効果を早期に予見できるバイオマーカーがあれば、追加塞栓の適応決定や肝切除時期の決定において大変有用である。本研究の目的は、適切な門脈塞栓術の方法を確立し、残肝肥大率を早期に予測できるバイオマーカーを探索することである。 ラットに全身麻酔を行ったのちに、小開腹して腸間膜静脈を直接穿刺し、X線透視下に塞栓物質を注入して門脈塞栓術を行った。当初、全肝に対して70%相当の門脈塞栓を行っていた(70%門脈塞栓モデル)。しかしながら、死亡率が高いため、全肝に対して45%相当の門脈塞栓に変更した(45%門脈塞栓モデル)。門脈塞栓術後2週間後にラットを安楽死させ、肝臓を摘出し、重量を計測することにより、非塞栓領域の肝肥大率と塞栓領域の肝萎縮率を算出した。 門脈塞栓術の際の塞栓物質として無水エタノールとn-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)のどちらが効果的に残肝を肥大させることができるかの結論がでていない。当年度は塞栓物質としてエタノールを用いた45%門脈塞栓モデル(エタノール群)を作製した。結果として、非塞栓領域の肝肥大と塞栓領域の肝萎縮を認めた。またエタノール群の血液サンプルと塞栓領域・非塞栓領域の組織サンプル取得を行った。今後、NBCAを用いた45%門脈塞栓モデル(NBCA群)を作製し、エタノール群とNBCA群の比較を行った後、残肝肥大率を早期に予測できるバイオマーカーを探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、全肝に対して70%相当の門脈塞栓を行っていた(70%門脈塞栓モデル)。しかしながら、門脈塞栓後2週間以内の死亡率が高かった。高死亡率の要因として、肝不全が疑われ、全肝に対して45%相当の門脈塞栓に変更した(45%門脈塞栓モデル)。上記、70%門脈塞栓モデルの高死亡率により、進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
塞栓物質として、NBCAを用いた45%門脈塞栓モデル(NBCA群)を作製し、エタノール群との非塞栓領域肝肥大率・塞栓領域肝萎縮率の比較を行う。また血液サンプルと組織サンプルの比較を行う。 残肝肥大効果を早期に予見できるバイオマーカーとしては、各種サイトカイン・増殖因子・miRNAがあげられる。肝肥大予測バイオマーカーがあれば、追加塞栓の適応決定や肝切除時期の決定において大変有用である。残肝肥大率が良好であった門脈塞栓物質を用いて45%門脈塞栓モデルを作製し、残肝肥大率を早期に予測できるバイオマーカーを探索する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度(令和元年度)のみでは予定研究計画が達成できておらず、次年度使用額が生じた。 次年度は45%門脈塞栓モデル(NBCA群)を作製し、エタノール群との比較を行う。 非塞栓領域肝肥大率と塞栓領域肝萎縮率が良好であった塞栓物質を用いて、45%門脈塞栓モデルを作製し、門脈塞栓術後の残肝肥大効果を予測するバイオマーカーの探索を行う。
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