2019 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌に対する強度変調放射線治療における味覚障害予測因子の解析
Project/Area Number |
19K17233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 綾 (中嶋綾) 京都大学, 医学研究科, 助教 (60826030)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 強度変調放射線治療 / 味覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌の放射線治療の晩期有害事象として味覚障害と唾液分泌障害があり、ともに治療後の患者の生活の質(QOL: quality of life)に大きな影響を及ぼす。本研究は、頭頸部癌に対する強度変調放射線治療(IMRT:intensity-modulated radiotherapy)における味覚障害とQOL評価を行う前向き観察研究である。味覚障害に関わる因子を同定し、味覚障害の起こりにくい放射線治療を開発することを目的としている。 本研究では、放射線治療後の経時的な味覚障害の主観的評価(PRO: Patient reported outcome)を行うだけでなく、客観的に評価することを特徴としている。このために、まず味覚検査の手法について検討を行った。甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの基本味質について、それぞれの溶液を5段階の濃度に設定し、少量を口に含ませて味質を答えさせる全口腔法味覚検査を採用した。健常人を対象に全口腔法味覚検査を行い、各試薬の濃度設定が妥当であることを確認した。 また、唾液分泌障害が味覚障害に関与している可能性があり、本研究では唾液量についても測定する。当院ではこれまでIMRTを施行した患者においてサクソンテスト法(2分間ガーゼをかませて前後の重量の差を測定する方法)により経時的な測定を行っていたため、このデータを遡及的に解析した。多くの患者で照射終了後1-3か月で治療前に比べて唾液量が減少したが、その後ゆっくりと回復がみられ、サクソンテスト法が唾液分泌量を測定する簡易で有用な方法であることを確認した。 これをもとに前向き臨床研究の研究計画書を作成し、倫理審査委員会に提出予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書作成に時間がかかり、患者の登録開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験の研究計画書は概ね完成し、今後倫理審査委員会に提出する。倫理審査委員会で承認され次第、早期に患者の登録を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
臨床試験の開始が当初の計画より遅れたため、患者に使用する味覚検査の試薬等の物品は今年度購入する予定であったのを次年度に購入することにした。 また、2-3月に出席する予定であった学会が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止・延期になったため、旅費も予定より少なくなった。
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Research Products
(2 results)