2023 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌に対する強度変調放射線治療における味覚障害予測因子の解析
Project/Area Number |
19K17233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 綾 (中嶋綾) 京都大学, 医学研究科, 助教 (60826030)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 強度変調放射線治療 / 味覚障害 / 前向き観察研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要目的は、頭頸部癌患者に対する根治目的の強度変調放射線治療(IMRT:intensity-modulated radiotherapy)後の味覚障害を主観的・客観的に評価することである。また、副次目的は、頭頸部癌患者に対するIMRT後の味覚障害がQOLに与える影響を評価すること、頭頸部癌患者に対するIMRT後の味覚障害とリスク臓器の線量体積指標との関連を明らかにすることである。 本研究では、当施設でIMRTによる根治的治療を行った頭頸部癌患者40例を対象とし、治療開始前と終了後1・3・6・12か月時点で味覚検査、唾液量測定、QOL質問票調査を行う前向き観察研究を実施した。味覚検査は甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの味質についてそれぞれ5段階の濃度の溶液を用いた全口腔法で行い、正答した最低濃度を認知閾値とした。治療前より認知閾値が2段階以上上昇した場合を味覚障害と定義した。 各味質の認知閾値の経時的な変化をフリードマン検定で解析したところ、うま味と苦味において治療後に有意に認知閾値が上昇していた。5つの味質のうちうま味障害の頻度が最も高く、治療後半年時点でも33%の患者でうま味障害が残存していた。うま味の認知閾値の変化量と唾液量、体重変化、QOLの症状尺度(食欲不振、感覚問題、人前での食事困難)との間に有意な相関はみられなかった。高齢はうま味障害の有意なリスク因子であった。 また、味覚の存在するリスク臓器として舌・口蓋・咽頭・声門上喉頭の平均線量を算出しうま味障害との関連を解析したが、いずれも有意な相関は認めなかった。 結論として、頭頸部癌の放射線治療後においてうま味の味覚障害が特に高齢者において顕著であった。今後解析をさらに進め、味覚障害に関連するリスク臓器の線量体積指標が明らかになれば、より味覚障害の発生の少ない放射線治療が実現できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)