2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Radiosensitizing Fiducial Marker by Nano Particle Delivery
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19K17235
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
王 天縁 神戸大学, 医学部附属病院, 医学研究員 (90757288)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線治療用マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが独自開発した過酸化チタンナノ粒子は、放射線照射によるチタン原子と酸素原子の原子間結合の結成構造の崩壊に伴って大量のヒドロキシラジカルが生成することを確認しており、これまでの金ナノ粒子とは異なる新しい放射線増感メカニズムである。放射線治療の臨床では、がん細胞に対して一度きりの照射ではなく、複数回に分割して照射することがほとんどである。この場合従来の放射線増感剤は、その増感原理からX線照射する度に増感剤投与する必要がある。一方で申請者らが開発した過酸化チタンナノ粒子は、X線照射の度に同じ粒子からROSが生成されるため、一度の投与で複数回照射に対してもその都度増感作用が得られる可能性が高い。また、腫瘍近傍に留置される視認性金属マーカーを利用したナノ粒子デリバリーシステムは、腫瘍に直接取り込まれるため、従来血中投与の増感剤より腫瘍細胞ターゲティング効率が高い、正常臓器に取り込まれるリスクも極めて少ない(正常組織にナノ粒子が取り込まれると、治療時照射野外の散乱放射線でも線量増感効果が予想される)。申請者らが新規提案したナノ粒子デリバリー放射線治療マーカーは、安全かつ有効な放射線増感治療戦略として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床治療装置での視認性・アーチファクトの評価:治療計画用CT、治療機リニアック等の最先端治療診断機器に装着された画像誘導装置を使用し、人体密度・組成に近い模型を用いた生体吸収性マーカーの視認性評価およびアーチファクト評価を実施した。 視認性評価のための自製作ファントムの図面設計および製作の実施計画の策定を行った。ファントム装置に留置するためにポリメタクリル酸メチル樹脂を用いたケースを作成し、その中に3パタン(1マーカー、2マーカー、3マーカー)のマーカーを留置し、人体組成に近い組織密度模型の中心部に設置した際のCT画像を撮影し、アーチファクトの初期評価を行った。 自作性ファントムを用いて、既に販売されている金マーカー(VISICOIL)、および自作マーカーの視認性を評価した。その結果、CT装置において自作マーカーの視認性を確認し、金マーカーで見られる、アーチファクトが無く、自作マーカーのアーチファクト低減効果が非常に優れている良好な視認性がえられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子が組織中へのリリースしやすさ、予想される拡散速度の調整を中心に検証を行う。ナノトンネルの直径(200 nm)とナノ粒子の粒径(20~100 nm)を試行錯誤で調整していく。無機ナノ粒子の粒径・濃度の調整を行う。マーカーサイズに関して、低侵襲的な留置を想定するために、径を1mm以下、長さを10mmで試作する。動物実験では、癌細胞を皮下埋植した担癌マウスモデルを製作し、ナノ粒子・放射線併用による抗腫瘍効果を評価する。癌細胞は主にヒト膵臓がん細胞を用いる。これは申請者らが扱い慣れた細胞であり、またある程度のX線抵抗性を持っているため、本実験に適していると判断できる。ナノ粒子を持つ試作品マーカーを腫瘍部に埋植作業を行い、観察期間は処置後2ヶ月とする。腫瘍組織内のナノ粒子局在確認は、埋植後三日間、2週間、1ヵ月後に電子顕微鏡下で確認する。X線照射併用(0Gy; 2Gy; 5Gy)の抗腫瘍効果は免疫染色により、細胞のアポトーシス、ROS抑制物質であるカタラーゼや活性酸素消去酵素、DNA-活性酸素結合体である8-OHdGなどの発見を調べる。また、ナノ粒子の濃度・投与量、X線照射からの経過時間と組織内のROS生成量の関連性も調べる。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会発表(コロナの影響により)が延期になったため。
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