2019 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の早期診断のための定量的黒質ドパミン神経イメージングの開発
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19K17239
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤原 康博 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (90422675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 黒質 / 磁気共鳴画像 / 定量値 / 緩和時間 / パーキンソン病 / T1緩和時間 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まずファントムを用いて1.5Tおよび3.0TのMRI装置において3D Phase-sensitive ineversion recovery (PSIR)のT1緩和時間の測定精度を評価した。その結果、どちらの静磁場強度においても従来のinversion recovery-spin echo法で測定したT1緩和時間と比較して、想定される黒質のT1緩和時間の範囲を高い精度で測定できることを確認した。また、測定されるT1緩和時間が、inversion timeなどの撮像条件に依存しないことも確認した。次に、36から63歳の幅広い年齢の健常者32名を対象にPSIRとNeuromelanin image(NMI)の撮像を行い、黒質の定量評価およびNMIとの比較を行った。その結果、PSIRは1.5Tおよび3.0Tのいずれの装置においても黒質を高いコントラストで描出可能であった。測定した黒質のT1緩和時間は、これまでに報告された値と同様の値を示した。また、3.0T MRIにおいてNMIとの比較を行った結果、PSIRで描出される黒質領域はNMIよりも広く、画像コントラストもNMIとは異なる特性を示すことを明らかにした。特に健常者の年齢と測定した黒質のT1値や面積が相関関係を示したことから、黒質のT1緩和時間が神経メラニンや加齢に伴う鉄の濃度変化のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。今後、黒質変性の評価へのPSIRの利用可能性を調査するために、パーキンソン病患者を対象とした撮像および評価を行う予定である。 以上に示した研究結果をまとめ、すでにその一部については学会発表および論文投稿を行った。また、国際磁気共鳴医学会においても発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者を対象に黒質のT1緩和時間や面積の評価を行い、そのベースラインを獲得できた。また、測定されたT1緩和時間は文献値と概ね合致したこと、PSIRが従来の神経メラニン画像とは異なる特性を示すことを明らかにしたことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、高齢者健常者およびパーキンソン病を対象に撮像および評価を行い、黒質の定量値(T1緩和時間や体積)と黒質変性(病期)との相関関係を明らかにする。さらに、今年度は新たな黒質定量評価法の可能性を検証するため、Synthetic MR画像から得られた画像から黒質の同定および緩和時間(T1緩和時間、T2緩和時間、プロトン密度)の評価手法の検討も行う。
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Causes of Carryover |
本年度途中に独立基盤形成支援(試行)に採択され追加支援を受けたため、当初の使用計画との差を生じた。この予算は次年度に繰り越して、ワークステーション等の購入に充てる予定である。
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