2021 Fiscal Year Research-status Report
陽子線治療スポットスキャニング方式用新規レンジシフタベッドの開発
Project/Area Number |
19K17241
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
太田 誠一 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (90571422)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 陽子線治療 / スポットスキャニング / レンジシフタ |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に,陽子線治療にて,表在または浅部へ有効な線量を照射するために,吸収体(レンジシフタ)を通して照射を行う必要ある.治療装置ビーム射出側に取り付けるタイプのレンジシフタを使用するのが一般的であるが,取付治具と患者または治療用寝台との距離が非常に近くなるため,干渉するリスクが上がる.また,レンジシフタを通過してから体表までの距離が遠くなるとビームが側方に広がり,陽子線治療のメリットの一つである線量分布のシャープさが劣化する.本研究では,スポットスキャニング方式の陽子線治療において,レンジシフタを体表近くに設置するために直接固定具を装着可能なレンジシフタベッドを開発し,体表とレンジシフタの距離を短くすることにより,従来使用されているビーム射出側取り付け型のレンジシフタと比べて,線量分布の改善を目指すことを目的とする. 前年度は,二種類のレンジシフタ素材(PMMAおよびHDPE)の陽子線の阻止能比を求めた.また,治療計画装置(線量計算を行うソフトウェア)にて,水面直下に80x80x80 mmの模擬腫瘍を設定し,水面とレンジシフタの間にエアギャップをあけた状態で,垂直のビームを使用した線量計算シミュレーションを行った.エアギャップについては0-130 mmとして,それぞれ計算した.治療計画と同一幾何学条件にて,水中に電離箱型測定器を配置し,複数の深さにおいて,実測値と計算された線量との比較を行った.この比較は,陽子線ビーム軸上の深さ方向の任意の点での測定であり,今年度は,さらに,二次元(平面)線量計を使用し,任意深さでの線量の側方への広がり(線量分布)について,実測した線量分布と計算された線量分布の比較を行った.前年度および今年度の結果をまとめ,国内および国際学術大会にて報告を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にて,レンジシフタベッドの作成完了が,コロナウィルスの影響下にて遅延したことで,研究計画の進捗が全体的にずれ込んでいるため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の成果を論文としてまとめ,学術雑誌に投稿すべく準備を進めている.データ整理の過程で生じた追加測定については随時行い,データの信頼性を高めていく.
|
Causes of Carryover |
研究計画の遅延により,論文としてまとめる工程がずれこんでおり,英文校正費用や論文投稿費用を使用しなかったため.また,コロナ蔓延により,旅費の使用に制限がかかったため,次年度使用額が生じた. 次年度使用額の用途について,英文校正および論文投稿費用に約30万円,旅費に約15万円,物品費に約10万円を予定している.
|