2019 Fiscal Year Research-status Report
がん放射線耐性克服に向けた新たな治療戦略開発;耐性細胞株で増加する分子に着眼して
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19K17258
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金光 祥臣 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (30752943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線耐性細胞 / PDI / Prx4 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に樹立した放射線耐性細胞株を資材とし、放射線耐性化機序と責任分子を明らかにし、がん放射線治療に実用可能なバイオマーカーと新規治療戦略を開発することを目的としている。これまでに SILAC 法によるプロテオーム解析を行い、計 18 のタンパク質が、複数の組織由来放射線耐性細胞株において、その親株細胞よりも発現量が増加していることを明らかにしている。 今年度は、特に量的変化が際立っており、先行研究などから放射線耐性能との関連性が示唆されている protein disulfide isomerase(PDI)や peroxiredoxin (Prx) などの酸化ストレス応答関連タンパク質を中心に解析を進めた。具体的には、口腔扁平上皮癌細胞株 SAS およびその放射線耐性細胞株である SAS-R に対し、PDI ファミリータンパク質のタンパク質発現量を、ウェスタンブロット (WB) 法によって検証した結果、SILAC 法の結果を裏付けるデータが得られた。また、PDIタンパク質と機能的に強い関連性有する、Prx ファミリータンパク質について、同様に WB 法に検証を行った結果、細胞内外の過酸化水素除去能を持つことが知られている Prx4 のみが、耐性細胞株において有意に高発現していることが明らかとなった。また、定量 PCR 法によって、PRX4 および機能的関連性を有する TXNDC5 (PDI ファミリーの一つ) のmRNA 発現量が増加していることも確かめられた。次に、放射線耐性能に Prx4-TXNDC5 タンパク質が関与していることを明らかとするために、各タンパク質を標的として、SAS細胞に対しては過剰発現細胞株、SAS-R に対してはノックダウン細胞株の樹立に着手し、概ね良好に実験が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の異動により、研究環境が大きく変化し、必要機材や試薬の調達に時間を要してしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
過剰発現およびノックダウン細胞株の樹立が完了次第、各タンパク質および遺伝子発現量を確認し、耐性能評価を実施する予定である。 さらに耐性化に至るまでの周辺分子の時空間的な動きを詳細に定量化し、評価を行うと共に、特異的阻害剤などの検証も進める。 申請時に予定していた、動物実験は、研究代表者の異動により、研究環境が大きく変化し、実施困難であることが見込まれる。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究代表者に異動により、研究環境が大きく変化し、計画していたオミクス解析やスクリーニングアッセイが行えなかったため。 (使用計画) 現施設でも、共通機器利用によりオミクス解析を行うことが可能となったため、使用料および消耗品代に充てる。
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Research Products
(3 results)