2020 Fiscal Year Annual Research Report
コンプトンカメラによるBNCT治療効果のリアルタイム測定システムの開発
Project/Area Number |
19K17261
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
酒井 真理 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70727338)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コンプトンカメラ / BNCT / 中性子補足療法 / 中性子 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子補足療法(BNCT)は中性子を用いた次世代のがん治療法である。腫瘍選択的に放射線を照射することが可能とされる一方、その線量を計算する場合には不確かな要素が大きく、治療効果の比較や評価が難しい。BNCTによる線量の評価手法として治療中に生じる即発γ線を用いた手法が提案されているが、即発γ線はエネルギーが高く、従来のγカメラでは十分な成果が得られていない。そこで我々が医療用に開発を進めているコンプトンカメラを応用できないかと考え、研究を行った。 モンテカルロシミュレーションを用いて、BNCT反応の測定を模擬したところ、BNCT反応によって生じる480 keVのγ線をコンプトンカメラで測定できることが分かった。またこのデータ を用いてイメージングを行ったところ、ホウ素の位置を特定できることが確認できた。 大阪大学の中性子施設のご協力いただき、BNCT反応の測定を行った。AmBe線源を用いて、熱中性子場を作成し、そこにホウ素とコンプトンカメラを設置することで測定実験を行った。設計に際してはモンテカルロシミュレーションを用いて最適化を行った。 実験の結果、ホウ素が無い状態でもBNCT反応による480 keVのγ線が測定された。また測定されたエネルギースペクトルを見ると、480 keVのγ線ピークが、同時に測定されている511 keVのγ線のピークと明確に分離されていた。しかし、様々な測定を実施した結果、コンプトンカメラの構造物にホウ素が含まれていることが判明し、装置の改良が必要となった。コンプトンカメラの改造について検討を行い、代替材料を多数のメーカーに打診したところ、2社から候補材料の提案が有った。コンプトンカメラ用に加工することについて、このうちの1社と協議を進め、いくつかの試作を行ったところ、十分な製作精度での製造が可能であることが確認できた。
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