2021 Fiscal Year Research-status Report
重症虚血肢に対する低酸素環境の改善を目的とした新規炭酸ガス療法の開発
Project/Area Number |
19K17268
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
元津 倫幸 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (70836379)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重症下肢虚血 / Interventional radiology / 血管内治療 / 炭酸ガス療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞性動脈硬化症の重症型である重症虚血肢に対する血行再建術の中心は血管内治療である。しかし、強い動脈硬化のため治療に難渋する症例も多く、虚血組織 に十分な血流(酸素化)が得られなければ下肢大切断の危険に晒される。炭酸ガスは血管拡張作用とBohr効果により組織中酸素分圧を増加させることが知られてい る。申請者らのグループでは、経皮的炭酸ガス吸収療法や飽和炭酸水の動注療法の研究を行い、炭酸ガスが組織の低酸素環境を改善させるとともに、創傷治癒の 促進や抗腫瘍効果を発揮することを示してきた。そこで炭酸ガス療法は、組織の虚血が主たる病態である重症虚血肢に対しても有効と考えられるが、それを示し た報告はない。本研究の目的は、ウサギ虚血肢モデルを用いて、炭酸ガス療法(経皮吸収療法・動注療法)が虚血組織の低酸素環境を改善させ、重症虚血肢の有効 な治療法となることを証明し、臨床応用につなげることである。 2019年度は、虚血肢モデルの作成を開始した。塞栓肢は非塞栓肢と比較して、血管造影での側副血行路の減少、血圧が低下することを確認した。2020年度は、塞 栓肢のレーザー血流計での血流低下を確認した。しかし、病理学的には虚血を示唆する所見は得られておらず、また免疫染色において、虚血で誘導される因子の 上昇、血管内皮細胞増殖因子の増加は見られておらず、想定していたほどの強い虚血が得られていなかった。 2021年度の研究では、塞栓する血管の範囲を広くし、肉眼的、病理学的、組織学的、免疫生化学的に虚血が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度までの研究で、虚血肢モデルの作成、肉眼的、病理学的に虚血が証明され、レーザードップラー血流計による虚血が証明されている。しかし、適切な虚血肢モデルの作成に時間を要したこと、COVID-19が拡大したことにより実験が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度まで研究計画を延長している。経皮的炭酸ガス吸収療法による虚血肢の改善効果を証明する予備実験を行った後、炭酸ガス療法群、コントロール群で比較する本実験を行い、結果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
これまでの研究では、虚血肢モデルを作成し、肉眼的、病理学的な虚血の証明に主眼をおいてきた。最終的には虚血肢モデルとコントロールでの、肉眼的、病理学的評価に加え、レーザードップラー血流計による定性的/定量的評価を予定している。レーザードップラー血流計はレンタルを予定しており、60万円/月の予算が必要である。また、実験動物およびその他の物品の経費も必要である。2022年度を最終年度と予定しており、次年度使用額として計上させていただく。
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