2019 Fiscal Year Research-status Report
二層検出器CTによる腎機能障害患者の低造影量プロトコル標準化へ向けた包括的研究
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19K17274
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田口 奈留美 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (40759578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二層検出器CT / 腎機能障害 / 低造影剤量プロトコル |
Outline of Annual Research Achievements |
CT検査は臨床診療に欠くことのできない検査ツールの一つであるが、造影CT後に発症する急性腎障害が課題の一つとしてあげられる。特に高度腎機能障害患者への造影CTでは造影剤減量が必要であり、それに伴う画質劣化、診断能への影響が懸念される。造影剤減量の際には低管電圧撮影が推奨されているが、大幅な造影剤減量は不可能であり、画質劣化の欠点もある。近年臨床導入されている二層検出器CTは、画質を劣化させずにこれまで以上の造影剤減量が期待されているが、その撮影プロトコルの実用化と標準化は未だ確立していない。 本研究では二層検出器CTを用いたDual-energy Imagingを応用して、腎機能障害患者における造影剤減量撮影プロトコルの実用化と標準化を目的とする。 臨床診療において高度腎機能障害患者に対する造影剤減量の必要性は高く、Dual-energy Imagingによる仮想単色X線画像を造影剤減量に利用した場合は、従来の低管電圧撮影と比較して下記のような利点が予想され、本研究の臨床的貢献度は高いと考える。 ①X線エネルギーを連続的に変化させる事が可能であり、適切な造影コントラストを撮影後に選択することができる。②超低エネルギー仮想単色X線画像を使用することで最大70%の大幅な造影剤減量が見込める。③従来の低管電圧撮影と比較して高い画質を得ることができる。④高体重患者にも適用できる。 2019年度の研究内容としては、仮想単色X線によるヨード造影剤の造影効果の定量および造影CTにおける画質向上の程度に関して、臨床症例に応用しうる十分な診断精度が得られる撮影条件および再構成条件についての検証を行った。また、二層検出器CTの画像特性と技術的問題点についても検証を行った。 続いて造影剤の最適な仮想単色X線画像の条件(最適なkeV設定)を検証し、造影剤投与法と最適仮想単色X線画像との整合性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日常の臨床診療に従事する傍らで本研究を進めており、当初の研究実施計画と比較するとわずかに遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の確実かつ円滑な実施に向けて、CT撮影技術と画像解析技術の専門家や造影剤減量プロトコルに精通した専門家に研究協力者として参加していただいており、今後研究が計画通り進まない場合は、Dual-energy CTの開発担当スタッフおよび研究協力者らと問題点を協議し、解決に努める。
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Causes of Carryover |
本研究に使用する予定であった備品等は、熊本大学医学部附属病院に導入されすでに使用可能な状況にあり、データ保存用ノートパソコンも既存のものを使用したため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金とあわせて、研究に関わる学会旅費や消耗品等の物品、図書文献費等にあてて計画的に使用する。
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