2020 Fiscal Year Research-status Report
partial-angle scan撮影の線量評価法の確立
Project/Area Number |
19K17282
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
羽場 友信 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (00810748)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | partial-angle scan / コーンビームCT / モンテカルロシミュレーション / CTDI / SSDE |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線画像診断において重要な撮影方法の一つであるpartial-angle scan撮影は、国際的にも線量評価法が統一されていない。本研究では、partial-angle scan撮影の原理・概念に基づいた新たな線量評価法を確立した。提案した評価法は、computed tomography(CT)検査における線量評価で用いられているCT dose index(CTDI)ファントム内で適切な位置で線量測定を行うというシンプルなものである。方法としては、モンテカルロシミュレーションを利用して種々の臨床装置を模擬し、適切な測定位置の解析を行った。 今年度は、上記の提案手法を様々な患者体型に適合させるために、ファントムモデルを直径8~40cmまで拡張した。結果として、本提案手法を用いることで4%の精度で正確な線量評価が行えることが判明した。本データはCT検査における患者被ばく線量評価で用いられているsize-specific dose estimate(SSDE)にも応用可能である。 本提案手法はシンプルであるが故に汎用性がある。具体的には、各医療施設で保有している既存のCTDIファントムに少しの加工を加えることで測定が可能である。また、2020年には米国医学物理学会から、新たなサイズ(直径30cm)のCTDIファントムが公表された。我々のデータセットは幅広いファントムサイズに適応しているため、このように新たなファントムがリリースされても直ぐに対応可能である。 本研究結果は、partial-angle scan撮影の線量評価法の統一の一翼を担うと思われる。なお、本研究成果は海外学術雑誌論文で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
partial-angle scan撮影の線量評価法が確立できた後には、実際に検査を受ける患者の被ばく線量の評価に繋げることが重要である。今年度は、確立した線量評価法に基づいたファントムで線量測定を行い、患者の臓器線量に対応した換算係数を考案する予定であった。しかし、線量評価法の確立に関する学術雑誌論文の査読プロセスが当初の予定より長期間となった。査読プロセス中には考案したファントムモデルが変更となる可能性もあったため、論文が採択されるまでファントム作製に取り掛かることが出来なかった。ファントム作製の遅れが、研究の進捗の遅れの理由である。 現在はファントムの作製も完了しているため、研究期間終了までには患者被ばく線量の評価まで実現可能であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ファントムでの線量測定値から患者の臓器線量を評価するための換算係数の導出に取り組む。患者の臓器線量は、OSL線量計を挿入可能な人体ファントムを用いて測定する。その際、本実験体系に即したOSL線量計のエネルギー・方向依存性を明らかにする必要がある。この検討はpartial-angle scan撮影の照射条件を模擬したX線撮影装置で行う。 OSL線量計の特性評価が完了したら、人体ファントムでの測定を行う。人体ファントムの測定は、自施設の血管撮影装置2台及び放射線治療装置1台での測定を行う。現時点では、臨床現場の協力により予備実験も順調に進んでいる。 本研究成果がまとまれば、partial-angle scan撮影における患者被ばく線量が簡便に推定でき、医療被ばく管理へ貢献できると考えている。
|
Causes of Carryover |
当初の予定では今年度中に、患者被ばく線量の推定方法に関する結果を海外学術雑誌論文に投稿する予定であり、その論文校正費用に経費を執行する予定であった。しかし、前述の「現在までの進捗状況」欄で記載した理由により論文執筆が遅れてしまっているのが理由である。 次年度使用額と請求額を併せて、論文校正費用及び論文投稿費用として経費を執行する予定である。
|
Research Products
(1 results)