2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17290
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
相澤 悠太 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (90808453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パレコウイルス / 敗血症 / 新生児 / 早期乳児 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
86人が対象として本研究に組み込まれ、パレコウイルスA感染症36人、エンテロウイルス感染症9人であった。パレコウイルスA感染症は、1月と2月に1人ずつ発生した後、7月と8月をピークに、6月から10月の間に症例の集積があった。西日本で少数発生後、7月に東日本へ急速に広がった。年齢中央値は25.5日(範囲5-84日)で、全て敗血症の症例であった。パレコウイルスAのうち遺伝子型判定が可能だった31人では、すべてパレコウイルスA3であった。パレコウイルスA3のmaximum likelihood法を用いた系統樹解析では、2つのクラスターに分かれたが、地域の偏りは無く、全国的なウイルスの拡散が認められた。
国内の小児入院施設における本疾患の疾病負荷は不明であることが研究開始の動機のひとつであったが、初年度ではその全体像をつかむことができた。疫学曲線は国立感染症研究所発行の病原体微生物検出情報と類似しており、小児入院医療施設の視点からみても同様の疫学情報であることがわかった。これは、本研究で立ち上げた小児入院施設の全国ネットワーク形成が有効であることも示唆する。さらに、西日本から東日本への広がりという、国内における患者発生のダイナミクスも明らかにすることが出来た。このネットワークは、国内における患者数の広がりの解析やウイルス学的な比較が可能であることが初年度の研究で明らかになった。 また、パレコウイルスA3感染症は2,3年ごとに流行を繰り返すことから、疫学情報が特に流行早期においては本疾患を疑う契機として重要であるが、本研究で立ち上げた全国ネットワークが流行の最初をつかめる可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各施設で本研究組み入れ基準該当者のチェックが行われ、適合者がいた際には随時検査ならびに臨床情報の収集が行われている。 新潟県内のみに限定するとパレコウイルスA3感染症患者は例年通り10人であり、全国に登録施設を配置した本研究によって、大きなサイズの集団で疫学の評価が可能となっている。パレコウイルスA3の疫学曲線は国立感染症研究所発行の病原体微生物検出情報と類似した形を描いている。 各施設とのコミュニケーションも良好に保てており、適宜データの情報共有と議論も行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
パレコウイルスA3感染症は2,3年ごとに流行を繰り返すことが知られているため、初年度と同様の研究を継続することによって、疫学を全国の小児入院施設の観点から評価する本来の意義が高まる。そのため、同研究を継続する予定である。 一方で、SARS-CoV-2の流行は、パレコウイルスA3感染症の疫学に影響を与える可能性が大いに考えられ、研究を継続するに当たり、結果の解釈にはSARS-CoV-2の疫学もあわせて考慮する必要がある。
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Causes of Carryover |
パレコウイルスA3感染症は2,3年ごとに流行するため、その年によって発生患者数は異なる。所要額は、その2,3年の発生数を平均した数で概算し請求していた。初年度では大きな流行は認められなかったため、当初の計画の金額を下回る実際の使用金額となった。次年度で大きな流行があった際には、平均した数で概算した金額を上回る費用が必要になる可能性があり、次年度使用額は、翌年度分として請求した助成金と合わせて解析の主に実験試薬に対して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)