2019 Fiscal Year Research-status Report
Maternal-neonatal transmission of extended-spectrum b-lactamase-producing enterobacteriaceae
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19K17299
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
平出 智裕 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (40638540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ESBL産生大腸菌 / 母子感染 / 尿路感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌は世界的な問題となっている。特にESBL産生大腸菌は小児の尿路感染症の原因菌となり、その数は年々増加している。しかし、いつ、どこで乳幼児がESBL産生大腸菌に感染するかは明らかになっていない。 妊婦の膣培養からESBL産生大腸菌の検出が増加していることから、乳児への感染経路の一つとして、母子感染が示唆された。しかも、生後半年未満の早い時期に、ESBL産生大腸菌による尿路感染症が増加しているため、生後早期に母児感染が起きており、更にESBL産生大腸菌に感染すると、尿路感染症のリスクが高まる可能性が示唆された。 このESBL産生大腸菌の母子感染と、その後の尿路感染症の発症リスクを明らかにする目的で、生後4-5日目と、1か月時に新生児の便培養を行い、ESBL産生大腸菌の検出を調べることが本研究の目的である。 このESBL産生大腸菌の感染経路を明らかにできれば、感染の拡大を抑制することができる。更に、乳児期のESBL産生大腸菌への感染が尿路感染症のリスクを上昇させるのであれば、感染対策を行うことで、尿路感染症の発症率を下げることができる。また、ESBL産生大腸菌を保菌する乳幼児や、母親が保菌している乳幼児が細菌感染症を起こした場合、適切な抗菌薬を早期に使用することで、治療期間の短縮が可能となり、新たな薬剤耐性菌の出現を抑えることができる。 研究体制が整った2019年10月から本臨床研究を開始し半年間で予定よりも多くの検体を得ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院は県内で唯一の総合周産期母子医療センターであり、年間約800件の分娩がある。そのため、本研究では主に正期産児を対象とし、当初1年間で新生児約400人分の検体を目標としていた。 研究体制が整った2019年10月から本臨床研究を開始し、半年間で新生児約300人分の検体をすでに集めることができた。 これまでのところ、新生児に対する有害事象は認めておらず、家族からの臨床研究中止などの申し立ても認めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2020年9月までの1年間、本臨床研究を継続し、新生児約500-600人分の検体を集めることとする。 その後、データー解析を行い、研究成果を発表、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、購入予定であった物品は、院内での調達が可能となったため、物品購入は行わなかった。 また、新型コロナウイルスの影響で、参加予定であった学会が中止となり、旅費は使用していない。
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