2019 Fiscal Year Research-status Report
ERK経路阻害剤による半月体形成性腎炎抑制効果の検討
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19K17302
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永井 隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (20835582)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 半月体形成性腎炎 / ERK経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はラット半月体形成性腎炎モデルにERK1/2のリン酸化を阻害するMEK1/2阻害剤およびERK5のリン酸化を阻害するMEK5阻害剤を投与することにより、その腎炎進展の抑制効果を検証するものである。腎病態においてERK経路阻害剤が腎炎進展にどのような作用をおよぼすかはいまだ不明であるが、ヒトの腎炎においてERKシグナルを介したメカニズムは重要な病態制御機構であり、ラットにおける腎炎進展抑制効果を立証し、将来的にはヒトへの臨床応用を行うことで、既存の治療に抵抗する難治性腎炎に対し新たな治療法を確立することを目的とする。当該年度はラット半月体形成性腎炎モデルを作成し、糸球体が線維化・硬化にいたるまでの因子変化を経時的に確認することを主眼とした。その中でtotal ERK1/2、total ERK5、pERK1/2、pERK5、腎炎進展および線維化の重要な因子であるTGF-βの発現変化、コラーゲンやフィブロネクチンなどの細胞外基質の蓄積について観察した。コントロールと比較して多くのラット半月体形成性腎炎モデルでは、total ERK1/2やpERK1/2がTGF-βの発現変化やコラーゲンやフィブロネクチンなどの細胞外基質の蓄積のフェーズにあわせて発現の増加が認められたのに対し、total ERK5やpERK5は細胞増殖やマクロファージの糸球体への浸潤のフェーズにあわせて発現の増加が認められることが確認された。半月体形成性腎炎においてはERK経路の関与を窺うことができ、ERK経路阻害剤投与の効果を期待しうるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画ではラット半月体形成性腎炎モデルを作成し、ERK因子発現の有無を確認し腎炎との関与を検討することを主眼としていた。ラット半月体形成性腎炎モデルは順調に作成することができ、腎炎モデルの腎組織を免疫染色などによりERK因子であるtotal ERK1/2、total ERK5、pERK1/2、pERK5の発現を確認することができた。腎炎因子との関与を検討することによりERK阻害剤の腎炎抑制効果を期待しうる結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット半月体形成性腎炎モデルにMEK1/2阻害剤、MEK5阻害剤を投与してその腎炎進展にどのような効果があるか蛋白尿、半月体形成率、線維化の程度、腎機能などで評価を行う。またMEK阻害剤投与によりtotal ERK1/2、total ERK5、pERK1/2、pERK5、さらにTGF-β、細胞外基質の蓄積がどのように変化するかについてもあわせて検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた物品の購入を保留としたため余剰金が生じた。余剰分に関しては次年度使用予定額とあわせて当該研究を引き続き継続するため、試薬を主とした物品費として使用する。
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