2022 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患発症に対する新生児期のヒストン脱アセチル化酵素阻害能の影響の解明
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19K17310
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山崎 晋 順天堂大学, 医学部, 助教 (80771774)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アレルギー / エピジェネティクス / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アレルギー疾患発症に関与する制御性T細胞のマーカーであるFOXP3発現に関わるエピジェネティクス因子の一端の解明を試みるものである。先行研究で新生児期の酪酸値とFOXP3の発現に関わるとされるヒストン脱アセチル化酵11(HADC11)の相関関係を明らかにし、小児科学会等で発表をした。 このため本研究では食物アレルギー児における血中のHDAC11阻害能と酪酸値を測定することから開始したが、月齢が経った検体では検査値rangeが広く、統一性が無く、コントロール(健常成人)と比較し有意差を認めなかった。 またHDAC11阻害能に影響を与える可能性がある因子と予測した酪酸値についても有意差を得られなかった。 結果、エピジェネティクス因子の解析については、1検体あたりの解析にかかる費用が高額であるため、これ以上のHDAC11阻害能の検討は難しいと判断した。 ヒストン脱アセチル化酵素は酪酸など脂肪酸のバランスや酸化ストレスなどにも影響をうけることが知られている。残り1年の研究期間では新生児期酸化ストレス(d-ROMs test(reactive oxygen metabolites:酸化ストレス)、BAP test(biological antioxidant potentia1:抗酸化力)のバランスに注目し、酸化ストレスの変化が間接的にアレルギー・免疫機能へ与える影響を評価できないかを検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
解析結果に有意差を認めなかったことが大きな理由である。加えて、研究期間中がコロナ流行期に重なり、アレルギー外来における血液検査や受診数の減少がおこった。現在は新生児期酪酸ストレスの機能とアレルギー、エピジェネティクスに関わる研究計画を作成している。
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Strategy for Future Research Activity |
残り1年の研究期間で新生児期酸化ストレスの評価から間接的にアレルギー・免疫機能を評価できないかを検討しているところである。2023年度、7月までに倫理審査を行い、秋に検体を回収、2024年2月までの解析を目指している。
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Causes of Carryover |
HDAC11阻害能等の測定検査に高額を要し、追加検体を解析するには不適当と判断した。現在、酸化ストレスを解析結果から新生児期エピジェネティクスの影響を検討する研究計画に変更中であり、本年度は倫理申請が通り次第、残額でアレルギー疾患発症に対する新生児期の酸化ストレス・脂質とヒストン脱アセチル化もしくはエピジェネティクス因子の解明を行う方針である。
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