2021 Fiscal Year Research-status Report
新生児の呼吸障害治療の新戦略のために~胃食道逆流現象からの新しいアプローチ
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19K17311
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
平田 倫生 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 副医長 (60769636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新生児呼吸障害 / 人工呼吸 / 胃食道逆流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も継続してサンプル獲得とデータ収集に努めた。しかし、遷延するコロナパンデミックにより、フィールドになる病院施設の出産数が減少し、加えて、妊婦の生活の安静度が上がったという社会的影響からか、病児入院数が激減したため、大幅にデータ数が減少することになった。とくに、本研究のメインターゲットである満期産、およびlate pretermでの呼吸障害児の数が少なく、呼吸管理が遷延する症例が極端に減少したため、対象症例をリクルートすることが昨年同様に難しかった。 そのため、今年度は目標症例数とそのデータ収集を最大目標としていたが、年度途中から既得のデータの分析を作業の中心に置くこととした。また、各学術集会も、国内、国外ともにオンライン開催、あるいは延期がいまやあたりまえの状況となっているうえ、研究指導を仰ぐ予定であったロンドン大学への訪問は今年度もかなわなかった。 データ解析については、開始直後で大きな成果はいまだ得られていないものの、当初の仮説である遷延性呼吸障害の気管レベルに至る高位の胃食道逆流ケースは、意外に少ない印象であり、もともと予想された新生児の逆流回数、および逆流レベルの高さを大きく逸脱しない結果となりそうである。ただ、インピーダンスの絶対値の解析を現在進めているが、その中間印象では上部食道壁のインピーダンス値は低い傾向がある。この知見は継続的な食道のダメージを示す可能性があり、各レベルのインピーダンスの相対的変化からはわからない逆流の存在を示唆するものなのかもしれない。 このように、現時点では少ないながらも、それなりに有意義な解析結果が期待できる状況ではある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画の段階では、今年度は昨年度までに得られたデータを解析し、その結果を学会発表(おもに国際学会)する予定であったが、複数年度にわたる全世界レベルのコロナパンデミックにより、症例数の減少、海外渡航困難等のさまざまな障害が同時多発的に発生したため、当初計画からは大きく逸脱する結果となった。これは、研究者にとっても大きな精神的ストレスとなっている。また、他院、他大学との人的交流も大幅に制限されたままであり、引き続き同じような状況が続くものと予想される。しかし、少ないデータでも得られる知見はあり、来年度もできる限りの努力は続ける所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
本基金は来年度が最終年度となる。 前述の通り、コロナパンデミックという天災とも呼べる状況下で得られる知見は、当初に考えていたよりも小さくなってしまう可能性はあるものの、本研究の新規性はいまだ失われてはいない。 来年度は、本研究の成果を世に問うべく、データ解析と論文作成を効率よく精力的に進めることによって期待に応える所存である。データ収集も並行して継続するが、データ数のおおきな上積みは期待できない状況である。
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Causes of Carryover |
もっとも大きな理由は、国際学会への参加費用(参加費および旅費)の支出が、コロナパンデミックという社会的な理由で不可能だったことがあげられる。それでも今年度からはオンラインで米英の国際学会が再開され始めたため、来年度は参加の予定である。 また、この残余助成金は最終年度の論文作成のために有効に使用する予定である
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