2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17314
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
木村 雄一 福岡大学, 公私立大学の部局等, ポスト・ドクター (40755691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性カリウムチャネルをコードするKCNQ2遺伝子に存在する遺伝子変異は、良性家族性新生児てんかんおよび、早期乳幼児てんかん性脳症に起因していることが知られている。前者は生後数日で発症するが、数週間で治り、予後も良好である。一方で、後者は難病指定されておりてんかん性脳症を引き起こし、発達障害を伴う。現在、これらの根本的な治療法は確立されていない。どちらも異常な神経活動を示すことが報告されているが、遺伝子変異部位に病態を区別するような規則性が見られないため、遺伝子変異がKCNQ2にどのような影響を及ぼすのか遺伝子発現レベルではあまり解析されていないため、分子病態機構は未だ理解されていない。そこで申請者は、これらの病態を決定する分子病態機構の理解を深めるために、遺伝子発現制御機構に着目し、研究を開始した。まずは研究の分子基盤を構築する目的でマウスをモデルとして用いた。健常型とアミノ酸置換を伴う一塩基変異を人為的に施した変異型(良性家族性新生児てんかん、早期乳幼児てんかん性脳症)Kcnq2のプラスミドを作製し、マウス由来の神経芽腫細胞に導入して解析を行った。その結果、健常型と比較して、全ての変異型においてそれぞれタンパク質の発現パターンが異なることを見出した。さらに、分子生物学的解析から、mRNAの発現量には有意差が認められなかった。これらの結果から、KCNQ2は翻訳もしくは翻訳後調節以降の過程において、その遺伝子発現が制御されている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常型と変異型と比較して、タンパク質の発現パターンに差異があることを見出した。 このことは次年度以降研究を遂行する上で重要な手掛かりになりうるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を踏まえて、健常型と変異型のタンパク質の発現パターンの原因を追求する。 発現パターンの変化には、まずタンパク質の分解が考えられる。そこで、タンパク質分解に関わる因子の阻害剤や、半減期の解析を行い、1つのアミノ酸変化によって起こる現象を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初の予定していた解析に至らなかったことと、次年度に多くの遺伝子発現実験を行う必要性が考えられたため。繰越分はタンパク質実験試薬、抗体、遺伝子改変キット等の購入に当てる。
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