2019 Fiscal Year Research-status Report
羊水由来iPS細胞を用いた体表欠損の治療法の開発-脊髄髄膜瘤・腹壁破裂への応用-
Project/Area Number |
19K17317
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田沼 有希子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, リサーチアソシエイト (40595328)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 培養表皮 / iPS細胞 / 3次元培養 / ケラチノサイト / 胎児治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児異常のうち脊髄髄膜瘤や腹壁破裂といった体表が欠損する疾患は、子宮腔内に消化管や脊髄といった臓器が露出し、胎児期から進行性の臓器障害を引き起こす。本研究では、羊水由来iPS細胞から培養表皮を作製し、胎内で欠損部に自家移植することで進行性の臓器障害を軽減し予後の改善を目指す。 初年度は、羊水iPS細胞からケラチノサイトへの分化誘導とその維持培養法の検討及び評価を行った。分化誘導は、Kajiwara et al. (2017)の方法に従いレチノイン酸とBMP4を用いて行った。多能性幹細胞由来の体性幹細胞は、その分化誘導効率や誘導した細胞の維持が難しいことが克服すべき点として挙げられる。まず、この誘導されたケラチノサイト様細胞の各種表皮マーカーの発現を確認後、それらをより長期に培養するべく、feeder layerとROCK inhibitorを組み合わせた培養法を従来法と比較し、前者でより長期培養できることを確認した。またiPS細胞由来ケラチノサイトを培養する過程で形態的に異なる細胞を認めることから、ケラチノサイト様細胞を選択的に継代する処理方法を併用することで、表皮マーカーの発現が維持されることを確認し、さらに平面培養で表皮を模倣した細胞シートを作製できた。また空気曝露法で3D皮膚を作製し、免疫組織染色で各種表皮マーカーの発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞から分化誘導したケラチノサイトの維持培養方法の比較を行い、より効率的かつ長期的に培養しえた。またそのiPS細胞由来ケラチノサイトを用いて3D皮膚を作製し、免疫組織学的に評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現行の培養方法をもとに、ケラチノサイトへの分化誘導効率や移植用表皮の作製効率を上げるためにさらなる培養条件の検討を行う。
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Causes of Carryover |
理由:試薬の納期が年度内に間に合わなかったため。 使用計画:次年度の消耗品の購入に充当する。
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