2020 Fiscal Year Annual Research Report
ループス腎炎における自然免疫系を介するPAI-1発現の解明と治療への応用
Project/Area Number |
19K17319
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
相澤 知美 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90836248)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PAI-1 / 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / 抗マラリア薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常ヒト培養腎血管内皮細胞を培養し、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者血清を添加した(初発時、安定期)。比較対照としてネフローゼ症候群、IgA腎症、紫斑病性腎炎の血清も添加した。その結果、ネフローゼ症候群の血清を添加した群はPAI-1のmRNA発現は何も添加しなかったコントロール群と比較し有意な上昇は認めなかったが、SLEの血清を添加した群ではPAI-1, tPAのmRNAの産生上昇が有意に認められた。同様に、IgA腎症、紫斑病性腎炎の血清を添加した群でもmRNA産生は有意に上昇した。PAI-1, tPAのmRNA発現と、血清補体価や抗ds-DNA抗体、尿蛋白など疾患活動性との相関を現在検討中で、補体との相関は認められている。また、治療前後で発現が変化するかを検討中である。本来、SLEの疾患活動性の指標となっているものと、腎局所でのPAI-1発現との相関が認められる場合は、腎局所においてのPAI-1抑制がループス腎炎の治療の一つとなる可能性があるため、今後も解析を進める。患者血清のPAI-1、tPA濃度の測定も行ったが、疾患活動性との相関は認められなかった。尿検体中のPAI-1, tPAの測定はまだ行っていないため、今後施行予定である。 その他、正常ヒト培養腎血管内皮細胞にTLR3のリガンドである Poly ICを添加した系では、MCP-1、RANTESの測定を行った。いずれも、時間依存性、用量依存性に増加していることを確認した。その発現がステロイド薬では抑制されないが、抗マラリア薬クロロキンで低下することも確認した。 腎局所における凝固関連因子やケモカインの解析は、ループス腎炎の病態解明につながる可能性があるため、今後も解析を続ける。
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