2019 Fiscal Year Research-status Report
圧電素子センサーを用いた新生児の先天性心疾患スクリーニングシステムの開発
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19K17321
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 貴一 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (20837413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 圧電素子 / 先天性心疾患 / 心雑音 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性心疾患の発生頻度は先天性疾患の中で最多であり、特に重症の先天性心疾患は診断の遅れが死亡へ繋がる可能性が高く、早急な診断と処置が望まれる。しかしながら新生児では症状や聴診所見からの診断は難しく、早期発見には熟練を要する。そのため、簡便でかつ客観性のあるスクリーニング機器の開発が望まれている。 圧電素子センサーは生体に触れることなく生体振動を検出することが出来る装置であり、心拍、呼吸、体動などの生体振動を検出することが出来る装置である。 今年度は新生児で新規の圧電素子センサーを作製した。直径10cm、厚さ0.5mmのプラスチックプレートに圧電素子を接着し新規の圧電素子センサーを開発した。今回開発した圧電素子センサーは、過去に我々の施設で開発したセンサーと比較し、より高周波数領域での信号雑音比が高く、心音・心雑音がより検出しやすい機器となった。この新規の圧電素子センサーを用いて健常新生児および心疾患を有する新生児で測定を行った。新規の圧電素子センサーでも心音を検出する事は可能であり、また、心室中隔欠損の患者で計測を行ったところ、心雑音と思われる所見を検出する事ができ、圧電素子センサーを用いて先天性心疾患のスクリーニングを行うことが出来る可能性が示唆された。今後は様々な先天性心疾患患者で測定を行い、心雑音を検出できることを確認する。また、電子聴診器で測定される心雑音も同様に解析し、圧電素子センサーによる測定結果との比較検討を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は直径10cm、厚さ0.5mmのプラスチックプレートに圧電素子を接着し新規の圧電素子センサーを開発した。今回開発した圧電素子センサーを卓上型振動試験機を用いて周波数解析を行ったところ、過去に我々の施設で開発したセンサーと比較し、100Hz以上の高周波数領域での信号雑音比が高く、心音・心雑音がより検出しやすい機器である事が予想された。この新規の圧電素子センサーを用いて健常新生児および心疾患を有する新生児で測定を行った。ADコンバータを用いて新規の圧電素子センサーで計測したデータをコンピュータ内に取り込み、波形解析ソフトで解析を行った。解析したデータより、新規の圧電素子センサーでも心音を検出する事は可能であった。また、心室中隔欠損の患者から計測を行ったところ、心雑音と思われる所見を検出する事ができた。ここまでの結果は第64回日本新生児成育医学会・学術集会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は圧電素子センサーによる先天性心疾患患者検出の感度・特異度を向上する事を目標とする。様々な先天性心疾患患者で測定を行い、心雑音を検出できることを確認する。また、電子聴診器で測定される心雑音を同様のアルゴリズムで解析し、圧電素子センサーのデータとの比較検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
当初予定より、旅費などの消耗品費が節減できた為、次年度使用額が生じた 次年度はさらに多数の患者および対照群から圧電素子センサーによる測定を行い、論文投稿および学会発表で予算を使用する予定である。
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