2019 Fiscal Year Research-status Report
小児急性骨髄性白血病の分子病態と発症年齢に基づく新たなリスク層別化治療の構築
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19K17322
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
原 勇介 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20806434)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子変異解析 / 遺伝子発現量解析 / パネルシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
小児急性骨髄性白血病(AML)の症例から得た臨床検体を用いて次世代シークエンサー解析を行い、330例で解析を施行した。小児AMLにおける既知の遺伝子変異のみでなく、他の白血病や成人の白血病、また成人の固形癌において発癌に関連する変異として同定されている遺伝子の解析も行っており、検出された遺伝子変異は多岐に渡っている。癌腫が異なると遺伝子変異の機能や予後も異なることが多く、他の癌では重要な遺伝子変異であっても白血病においては異なった扱いとなる可能性があり、今後症例の臨床的な特徴や既知の遺伝子異常との関連性、また予後を予測する上での有用性を検討し、機能解析を行い治療標的とすることが可能であるか、今後詳細に検討する予定である。 また、上記の解析手法により遺伝子の発現量解析も合わせて施行した。小児AMLは同一の疾患の中でも遺伝子異常の種類によって全く異なる臨床的特徴や予後を示すことが多く、特定の遺伝子異常を目安にそれぞれの症例をサブグループに分け、その中で遺伝子発現の異常を検討することで、遺伝子発現の機能的な役割や臨床的重要性を精密に検討することができる。膨大な情報量であるため今後詳細に検討予定であるが、まずは最も予後不良な経過を取る遺伝子異常を有する症例における解析を行い実験系を確立して、その他の症例で更に追加解析を行う。 新規の遺伝子変異や遺伝子発現の異常についてはまずin vitroでの実験を行う。細胞株での検討や、更にCRISPR-Cas9での遺伝子編集技術を用いた解析を行い、遺伝子異常が治療標的となり得るか検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずは多数の症例の遺伝子パネル解析を行うことができ、極めて膨大な量の解析データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
予想以上に大量の解析データを得ることができたため、今後どのように研究を進めていくか慎重な検討が必要である。情報の取捨選択を行い、研究を効率的かつスピーディに進める上で最も妥当な方法を考案する。 具体的にはまず新規遺伝子変異の臨床的有用性を検討し、そのような遺伝子異常を治療標的とすることがどの程度重要であるか評価し、充分な臨床的重要性を認めるものに限定して解析を進める予定である。 遺伝子発現については、症例が同時に有する発癌のドライバーとなる遺伝子異常によってその発現異常の意義が異なることも多く、発現解析のみでなくその他の遺伝子異常も網羅的に解析し、統合的に遺伝子発現の機能や臨床的有用性の評価を行う必要がある。
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