2023 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性骨髄性白血病の分子病態と発症年齢に基づく新たなリスク層別化治療の構築
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19K17322
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
原 勇介 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20806434)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2024-03-31
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Keywords | 小児急性骨髄性白血病 / リスク層別化治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
328例の臨床検体を用いて343癌関連遺伝子のパネル解析を行い、128例の臨床検体を用いてRNA シークエンスによる融合遺伝子および遺伝子発現解析を行った。これまで報告のある遺伝子異常に加え、2.1%でTP53遺伝子、1.8%でRB1遺伝子の遺伝子変異やコピー数異常が予後不良な症例において同定され、重要な発症要因となる可能性が示唆された。TP53の異常はほぼ全ての症例が10歳以上であったが、TP53の異常は成人のAMLでは一定の頻度で検出される予後不良因子であることから、TP53の異常を有する小児AMLは成人AMLと同様の発症機序を持つ可能性が示された。またTP53やRB1の異常を有する症例はSLC2A5やCD300F等これまで十分な報告のない遺伝子発現異常に強く関連することも判明した。特にSLC2A5の高発現症例は統計学的に有意に予後不良であった。SLC2A5はフルクトースのトランスポーターであるGLUT5をコードしており、成人AMLや小児急性リンパ性白血病の予後不良なグループで高発現となることが近年報告されており、新たな治療標的候補として今後解析が必要である。 乳幼児では既知の遺伝子異常の予後への影響が大きく、新たな分子生物学的異常の同定には至らなかった。しかし、全年齢で広く検出され予後良好とされているinv(16)(p13q22)/CBFB-MYH11は乳幼児では年長児に比べ て再発率が極めて高く、一方で11q23転座/MLL遺伝子再構成は年長児の方が有意に再発率が高いことが判明した。このように、共通の遺伝子異常を有するAMLにおいても年齢の違いに関連した予後の違いがあることから、網羅的遺伝子解析によるより詳細な解析が必要であると思われた。以上より、遺伝子異常や治療反応性だけでなく、発症年齢も考慮したリスク層別化治療の構築は治療成績向上に寄与すると思われた。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] TP53 and RB1 alterations characterize poor prognostic subgroups in pediatric acute myeloid leukemia2023
Author(s)
Hara Yusuke, Shiba Norio, Yoshida Kenichi, Yamato Genki, Kaburagi Taeko, Shiraishi Yuichi, Ohki Kentaro, Shiozawa Yusuke, Kawamura Machiko, Kawasaki Hirohide, Sotomatsu Manabu, Takizawa Takumi, Matsuo Hidemasa, Shimada Akira, Kiyokawa Nobutaka, Tomizawa Daisuke, Taga Takashi, Ito Etsuro, Hayashi Yasuhide, et al.
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Journal Title
Genes, Chromosomes and Cancer
Volume: 62
Pages: 412~422
DOI
Peer Reviewed