2021 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期発症のてんかんにおける社会性発達の病態解明
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19K17329
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩谷 祥子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (60724903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / 社会性発達 / 視線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期発症のてんかんは、精神発達遅滞や自閉スペクトラム症を合併することが多く、てんかん発作抑制だけでなく、社会性発達や認知機能の良好な予後を目指した包括的なてんかん治療が重要である。 大阪大学医学部附属病院小児科を受診した乳幼児期発症の0-6歳のてんかんの小児10名に対して、社会性発達評価装置を用いた視線計測と視覚刺激課題に対する事象関連電位測定、Vineland-II適応行動尺度などを用いた発達評価を施行した。加算回数が20以下の1例は除外し、脳波解析を施行した。9例(男児6例、女児3例、平均年齢4±2歳)はPanayiotopoulos症候群3例、良性乳児てんかん2例、Dravet症候群、中心側頭部に棘波を示す自然終息性てんかん、結節性硬化症合併のWest症候群、特発性全般てんかん各1例、事象関連電位測定時の脳波異常は焦点性7例、全般性1例、異常なし1例であった。平均DQ(8例)は79±14で、SRS-2総合T得点60以上は3例であった。7例は両側後側頭部のN170 が検出できたが中心側頭部に棘波が頻発する1例と右後頭葉に皮質結節を認める1例で右後側頭部に明らかなN170が検出できなかった。9例の左後側頭部N170の潜時は年齢とともに有意に短縮したが、7例の右後側頭部N170の潜時は年齢との関連性を認めなかった。7例中6例は右優位にてんかん性異常波を過去または検査時に認め、1例は全般性の異常波を認めた。今後、1年後フォロー、2年後フォローのデータも追加し、脳波異常や臨床症状と事象関連電位、視線計測結果、発達結果との関連性を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波測定中のアーチファクトが多い症例があり、事象関連電位の解析が可能なトライアル数が少なくなってしまうため、アーチファクト除去の検討に時間を要しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
フォロー脳波における事象関連電位の解析を進め適切な解析方法を検討し、安静時脳波における脳波解析も追加していく。
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Causes of Carryover |
学会がWeb開催されたため、旅費が不要になった。また、脳波解析の補助員を募集するも、雇用に至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は脳波解析の補助員に対する人件費に使用予定である。
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Research Products
(2 results)