2022 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期発症のてんかんにおける社会性発達の病態解明
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19K17329
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩谷 祥子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 助教 (60724903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | てんかん / 社会性発達 / 事象関連電位 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期発症のてんかんは、自閉スペクトラム症(ASD)を高率に合併することが報告されており、てんかん発作抑制だけでなく、社会性発達や認知機能を伸ばすことも重要である。顔課題における事象関連電位は自閉スペクトラム症のバイオマーカーの候補とされており社会性発達の客観的な指標として有用と考えられる。大阪大学医学部附属病院小児科を受診した乳幼児期発症の0-6歳のてんかんの小児11名に対して、社会性発達評価装置を用いた視線計測と視覚刺激課題に対する事象関連電位測定、Vineland-II適応行動尺度などを用いた発達評価を施行した。脳波解析できた9例(平均年齢4±2歳)では、事象関連電位測定時の脳波異常が焦点性7例、全般性1例、異常なし1例であった。ASD特性を評価するための質問紙では、4例でASD特性を認めた。顔課題における事象関連電位では、8例で両側のN170 脳波が検出できた。右中心側頭部に棘波が頻発する1例では右N170が検出できず、右後頭部優位の脳波異常を認めた3例では右N170潜時が左より長かった。右のN170とP100の振幅差は人に対する注視率との相関を示し、その注視率はコミュニケーション得点や適応行動総合得点とも正の相関を認めた。てんかん小児において脳波異常がN170反応や社会性発達に影響している可能性があり、さらなる検討が必要と考えられた。今後、フォローのデータも追加し、脳波異常や臨床症状と事象関連電位、視線計測結果、発達結果との関連性を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波解析のビデオチェックや必要なデータ抽出のために、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
データ抽出を一括してできるような準備を整えた。脳波解析の経験のある研究補助員を雇用しビデオ同時記録の脳波チェックを進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により国際学会への参加を見送り、参加学会が近隣であったため旅費が減額になった。また、補助員の勤務日数の関係で人件費が少なくなったことにより、次年度使用額が生じた。次年度は学会参加、研究補助員の人件費、脳波の追加解析のための解析ソフト購入を検討している。
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Research Products
(2 results)