2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on serum biomarkers in neonatal encephalopathy
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19K17335
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 一雅 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50526895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新生児仮死 / タウ蛋白 / スペクトリン分解産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Tauとアポトーシスのマーカーを指標に、新生児脳症における「予後との関係」および「アポトーシスの程度」について臨床データと併せ解析する。また、「低体温療法の適応拡大と新規脳保護薬導入」の指標としてバイオマーカーの有用性を確立し、新生児脳症の神経学的予後の改善に向けた病態解明を目指す。2019年度、山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター新生児医療部門に入院した新生児265名のうち、新生児仮死は11名であった。中等度新生児脳症3名および重症新生児脳症2名の合計5例に低体温療法を施行した。低体温療法を施行した症例の在胎期間は37-41週で、出生体重は2,138-3,696 gであった。いずれも出生後6時間以内に低体温療法が施行され、特に本療法による合併症を認めず終了した。いずれも当院で承認の得られた同意書をもとに保護者の同意が得られた。通常の診療行為内の採血検体から、通常の診療に必要な検査の残血清を回収し、-80℃で保存した。出生後日齢0, 3, 7, 14, 28および退院時に保存した。残血清が十分量でない場合は、追加で採取は行わなかった。神経後遺症リスクのない他の疾患の検体もコントロールとして採取した。 これらの血清と、それまでに保存された血清を用いてTauを酵素免疫吸着法(ELISA)キット(Abcam社)により測定し、SBDP 120およびSBDP 145値をELISAキット(CUSABIO社)により測定するところまでが2019年度の計画であったが、これらのキットの納入の兼ね合いで、年度内での測定はできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当院で承認の得られた同意書をもとに保護者からの同意が得られた新生児から検体を採取した。 提供された血清を用いてTauを酵素免疫吸着法(ELISA)キット(Abcam社)により、SBDP 120および145値をELISAキット(CUSABIO社)により測定する予定であったが、これらキットの納品が遅れ、測定に向け準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
提供された血清を用いてTauを酵素免疫吸着法(ELISA)キットにより、SBDP 120および145値をELISAキットにより測定する。Tau及びSBDPsの得られたデータを分析し、これらバイオマーカーと得られた臨床データとを比較検討し、新生児脳症の重症度との関連を検討する。また、母親の「基礎疾患,切迫早産に対するステロイド投与の有無」あるいは児の「在胎週数、出生体重、胎盤・臍帯所見、診断名、脳低温療法の有無、血液検査データ、頭部超音波所見等」とTauおよびSBDPとの関連性を統計学的に検討する。新生児脳症などの将来的に神経学的後遺症発症が予測されるため、退院時に頭部画像検査(MRI・MRA)を行っている。また、神経発達の評価を、1歳6か月・3歳で発達を専門とする医師による診察と臨床心理士による発達検査を行い、発達の程度を定量化する。それらとTau、SBDPとの関連性を統計学的に検討する。
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