2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on serum biomarkers in neonatal encephalopathy
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19K17335
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 一雅 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50526895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新生児脳症 / バイオマーカー / スペクトリン分解産物 / ST2 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児脳症(NE)の病態に則した血清バイオマーカーに関して、令和2年度は、control17名、mild NE群で5名、moderate あるいはsevere NE群 4例において、出生後6時間以内、日齢3、日齢7の時相で血清SBDP120及び血清SBDP145を測定した。血清SBDP120濃度、血清SBDP145濃度ともに、いずれの時相においても群間に差は見られなかった。これらのパラメータは、NEにおける重症度予測、予後予測に有用とは言えないと考えられた。 その他のNE予後予測マーカーとして、ST2に着目し、control(n=16)、mild NE(n=5)、moderate NE(n=13)、severe NE(n=5)例において、残血清を用いて可溶性ST2をキット(R&D System Human ST2/IL-33R Quantikine ELISA Kit)を用いて測定した。日齢1, 3における血清sST2値は、NE重症度に応じて有意に高値であった。日齢7における血清sST2値は、いずれの群においても低値で、群間差は見られなかった。脳性麻痺を発症した児の日齢1, 3における血清sST2値は、脳性麻痺を発症していないNE児に比し、統計学的に有意に高値であった。sST2は虚血性心疾患等の疾患で重症度と相関することが報告されている。今回, HIEの新生児においても重症度に応じて上昇することが明らかとなった。NEの重症度を判定するマーカーとして有用性が示唆された。また、予後予測マーカーとしての有用性も示唆された。後ろ向き検討で、少ないデータであることは本研究の大きなlimitationである。また、sST2は神経保護効果を持つIL-33の作用を抑制することと併せ、今後はIL-33/ST2経路の制御がNEの治療戦略となりうるかどうか検討を進めていきたい。
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