2019 Fiscal Year Research-status Report
Keap1-Nrf2系と自然リンパ球による小児IBD制御機構の解明と治療への展開
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19K17348
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
長島 隆一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 研究技師 (20783707)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IBD |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、野生型(WT)とNrf2欠損(Nrf2-KO)マウスを用いて、ILC3とNrf2の相互関係について解析を予定していた。大まかな計画として、① 腸炎におけるNrf2とILC3の役割、② Nrf2がILC3機能に及ぼす影響について解析した。 ①に関して、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による薬剤誘導性腸炎モデルにおいて、Nrf2-KOマウスは腸炎増悪を示す。この時、小腸および大腸粘膜固有層におけるILC3を解析すると、Nrf2-KOマウスで増加していた。特にNKp46を発現するILC3 (NKp46+ ILC3)のみが著増していた。また、樹状細胞(DC)も増加していた。 ②に関して、腸内でIL-22を産生する主要な細胞は前述のNKp46+ ILC3であり、その産生にはDC由来サイトカインの供給が重要である。NKp46+ ILC3とDCを試験管内で共培養するとIL-22を産生する。IL-22は、急性細菌感染では腸管保護に働くが、IBDではむしろ増悪に寄与するとの報告がある。ILC3とDCをNrf2-KOマウス由来同士で共培養すると、野生型マウス由来同士で共培養したものより、IL-22産生は2倍程度亢進した。興味深いことに、野生型のILC3をNrf2-KOマウス由来DCと共培養しても、その産生が2倍程度のまま維持された。このDCを詳細に調べると、Nrf2-KOマウス由来DCではTNFSF15(TL1A)の発現が高いことも明らかとなった。 以上のことからNrf2は、TL1A産生性DCを介してILC3のIL-22産生を制御することで腸炎改善に寄与している可能性が示唆された。今後は腸炎に対するNrf2活性化の役割と、DCとILC3の詳細なネットワークを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りの進捗状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、Nrf2/Rag2二重欠損マウスにおけるILC3およびDCを解析し、腸炎環境におけるNrf2が自然免疫系に及ぼす役割を解析する。
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Causes of Carryover |
次年度に計画しているマウスの解析に多額の経費がかかることが予想されるため。
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Research Products
(1 results)