2020 Fiscal Year Research-status Report
Wearable deviceを用いた脳性麻痺児の筋緊張亢進の評価系の確立
Project/Area Number |
19K17350
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
早川 格 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 器官病態系内科部, フェロー (40786901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児期から始まる神経系の発達の中で、ヒトは意図した通りに身体を動かす能力を獲得する。この運動制御は大脳皮質前頭葉・大脳基底核・小脳を含む精妙な神 経回路を基盤とする。脳性麻痺児では先天的・後天的にこの回路が傷害されるため、運動制御機構が破綻し、患者は自分の身体を自由に動かすことができず(運 動麻痺)、意図しない持続的な筋収縮や意図しない制御不能な不随意運動を生じる(筋緊張亢進)。脳性麻痺児の運動麻痺と筋緊張亢進は表裏一体の関係にあ り、脳性麻痺児のほとんどは筋緊張亢進を合併する。脳性麻痺児の筋緊張亢進は生活の質を著しく低下させる。脳性麻痺児に適切な医療とケアを提供する上で、 筋緊張亢進の客観的かつ定量的な評価系の確立は急務である。 脳性麻痺児の筋緊張亢進には客観的で定量的な評価尺度がない。腕時計型Wearable device(身体装着型加速度計)は、加速度センサー、心拍モニター、皮膚温 センサーを搭載し、身体活動を分単位で定量的に表現できる。本研究以前には、Wearable deviceを筋緊張亢進の評価に用いた試みはない。 本研究では、これまで定性的で主観的な評価しか行えなかった筋緊張亢進を、Wearable deviceの活動性指標を用いることで容易に客観的かつ定量的に評価でき るか、を検討するための前向き研究である。 2020年度の研究成果は下記の通りであり、予定されている研究計画どおりに進行している。 (1)15名の脳性麻痺児について、同時取得した各種パラメータの比較検討を行った。その結果、(2) Wearable deviceの活動量指標が臨床スケールと正に相関すること、一方でWearable deviceの活動量指標は介護者の負担感とは相関しないことが明らかになった。(3) 研究成果は日本小児神経学会学術集会に演題提出し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響で患者のエンロールメントは一部停滞したが、データの解析が進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿った研究を引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響もあり研究に使用しているレスパイト施設が一時休所になるなど、患者のエンロールメントや解析作業が進展しなかったこと、それに伴い研究遂行に必要な物品購入が不要になったことから、次年度使用額が生じた。コロナ禍での研究体制を整備したため、2021年度に物品購入などを行う予定である。
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