2019 Fiscal Year Research-status Report
Survey of prenatal testing in pregnancies with advanced paternal age
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19K17351
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
西山 深雪 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 遺伝カウンセラー (10836761)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 父親の加齢 / 遺伝カウンセリング / 遺伝子異常 / 出生前遺伝学的検査 / 非侵襲的出生前遺伝学的検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、2つの調査を行う3か年の研究計画で、国内で出生前遺伝学的検査を検討する妊婦、パートナーの父親の加齢(advanced paternal age: APA)と関連性が高いや疾患の認識と(調査①)、欧米諸国で実際に検査を提供している臨床現場での遺伝カウンセリング(genetic counseling: GC)の実態(調査②)を調査して、APA関連疾患に対する非侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing:NIPT)が臨床で適切に運用されるためのGCの在り方を検討することを目的としている。 【調査①】(対象:妊婦ならびにパートナー) パイロット調査として行った、当院産科初診外来を受診した妊婦120名の質問紙調査では、90.8%の妊婦が母親の年齢が高くなることで出生確率が高まる先天性疾患の存在を認識していたが、APA関連疾患があることを認識していた妊婦は63.3%であった。APA関連疾患の認識の有無と、出生前遺伝学的検査の実施の有無との有意な関連は認めなかった。出生前遺伝学的検査を受検するかどうかにかかわらず、妊婦のAPA関連疾患の認識度は、母親年齢の影響を受ける疾患の認識度よりも低いことが明らかになった。本結果については現在投稿中である。 【調査②】(対象:APA関連疾患に対するNIPTのGCの経験がある医療者) APA関連疾患を対象としたNIPTを提供している欧米諸国の検査会社に検査の現況を確認した。検査理由はAPAが半数弱であり、次いで胎児超音波異常が多くなっていた。陽性例の大多数は胎児超音波異常所見のある症例で、APAでNIPTを行った場合の陽性例は稀であった。したがって、APAを理由にNIPTを行って陽性となった妊婦に対してGCを行ったことのある医療者は、極めて少ないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【調査①】パイロット調査として当初予定していなかった妊婦への質問紙調査を行ったため、当初の目標であった妊婦およびパートナーの双方の認識の調査には至っていない。 【調査②】APAを理由にNIPTの選択肢を提示しているGC担当者、特に陽性となった妊婦に対してGCを行ったことのあるGC担当者を中心に、臨床現場でのGCの現状について調査をする予定としていたが、陽性例が少なく担当者の選定が困難であった。陽性例の経験の有無にかかわらず、欧米諸国のGC経験者からヒアリングを行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は、2つの調査を行う3か年の研究計画である。国内で出生前遺伝学的検査を検討する妊婦、パートナーのAPAや関連疾患の認識と(調査①)、欧米諸国で実際に検査を提供している臨床現場でのGCの実態(調査②)を調査する予定としていた。それぞれの調査について当該年度に行った調査結果から、以下のように今後の研究を推進する予定である。 【調査①】パイロット調査の結果から、妊婦のAPA関連疾患の認識度は母親の年齢の影響を受ける疾患への認識度よりも明らかに低く、またAPA関連疾患の認識の有無と、出生前遺伝学的検査の実施の有無との有意な関連は認めなかった。これらの結果に基づいて、当初の研究計画の対象(出生前遺伝学的検査を検討する妊婦、パートナー)を変更し、当院で妊婦健診を行っている妊婦とそのパートナーを対象とした質問紙調査を行う予定とする。 【調査②】欧米諸国の臨床現場でGCを行っている(もしくは行っていた)医療者に半構造化面接を行う予定としていたが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により、対面による面接は困難であることが予想される。メールなど他の方法でヒアリングを行うこととする。ただし、APA関連疾患を対象としたNIPTについて、検査理由がAPAで陽性となった妊婦に対するGCの経験がある医療者は極めて少ないため、検査後の陽性例に対するGCについてヒアリングすることは困難であることが想定される。このような事情から、今後は得られた情報をもとに質問紙を作成することとする。
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Causes of Carryover |
【調査②】(対象:APA関連疾患に対するNIPTのGCの経験がある医療者)の進捗が遅延しており当該助成金が生じた。質問紙調査を予定しており、翌年度分として請求した助成金と合わせて、その費用として使用予定である。
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