2020 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ活性化症候群の新規治療を目指した網羅的免疫学的解析
Project/Area Number |
19K17354
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 なつみ 金沢大学, 附属病院, 助教 (90808924)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロファージ活性化症候群 / 小児リウマチ性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では様々な小児リウマチ性疾患を背景とするマクロファージ活性化症候群(MAS)の網羅的な免疫学的解析(末梢血細胞亜群解析、末梢血単核球のmRNA microarray解析、血清抗体アレイ解析)を行うことにより、MAS病態に共通の免疫学的異常を同定し、MAS の早期診断の指標を確立するとともに、新規治療法の開 発を目指すことを本研究の目的としている。 令和2年度は、すでに冷凍保存してある血清検体の解析を前年度から継続して行い、また各疾患における結果を解析し発表した。これまでにELISA法で5種のサイトカイン値(neopterin, IL-6, IL- 18, sTNF-RI, sTNF-RII)を測定した小児リウマチ性疾患(全身型若年性特発性関節炎、川崎病、SLE、若年性皮膚筋炎)、MAS合併例で急性期とMAS合併時での結果を解析した。背景疾患により異なるパターンを呈し、各疾患によりMAS移行時に有意に上昇するサイトカインが異なることがわかった。具体的には、neopterin、IL-18、sTNF-RIIはいずれの疾患でも急性期よりMAS合併時で共通して上昇し、各疾患におけるROC解析の結果、SLEではsTNF-RI、若年性皮膚筋炎ではIL-18、川崎病と全身型若年性特発性関節炎ではsTNF-RIIがMAS合併の判断に最も有用であった。これらの結果につき報告した論文がacceptされた(Mizuta M et al. Rheumatology 2021;60:231-238)。 また、川崎病に合併するMASに関して急性期とMAS発症時の血清抗体アレイ解析を行い、MAS合併時に有意に上昇を認めたサイトカインにつきELISA法で変化を確認した。しかし抗体アレイとELISAでcompatibleな結果を得られず、症例数を今後さらに増やす必要があると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
保存血清を用いた解析は各小児リウマチ性疾患において概ね検討できたが、新規症例が少ないことや、令和2年度以降は社会的影響により発熱性疾患の検体解析が困難な状況であったことから、急性期の末梢血細胞解析および単核球のmRNA解析については十分進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度はさらに急性期・MAS合併症例を募り、解析数が少ない末梢血細胞亜群解析やmRNA micorarray解析を進めていく。血清サイトカイン解析から得られた、MAS病態で共通して変動するサイトカイン異常とこれらの関与についての機能解析も併せて行う。
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Causes of Carryover |
計画よりも当該年度の解析症例数が少なかったため、次年度への使用が生じた。 最終年度は解析症例数を増やすため引き続き末梢血細胞亜群解析に対する蛍光抗体やmRNA microarray解析への費用に充てるとともに、MAS病態に共通することが明らかになったサイトカインや分子につき、末梢血単核球を用いて種々の抗原刺激への反応性やサイトカインへの反応性を評価するためのリコンビナントサイトカインや培養液の購入などに充てたい。
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