2021 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症に合併する白血病モデルを用いた発がんの原因となる遺伝子変異獲得機序の解明
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19K17358
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西中 瑶子 京都大学, 医学研究科, 助教 (80789644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一過性骨髄異常増殖症 / 多段階発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多段階発がんとしての白血病発症に繋がる遺伝子変異の獲得のメカニズムを解明である。多段階発がん説に則って説明可能なダウン症に合併する白血病モデルを用いて、遺伝子変異が造血前駆細胞のどの細胞分画で、どのような分子機構に基づいて獲得されるのかという点について、iPS細胞由来の造血系を用いて解析を行った。 発がんに繋がる遺伝子変異獲得過程を、step1からstep3に分けて定義し、全ての解析で、アイソジェニックなdisomy21とtrisomy21の多能性幹細胞ペアを用いて血球分化を行い、未分化、血球血管共通前駆細胞、初期造血前駆細胞の段階ごとに各種項目を比較評価した まず、step1(initiation)の変異を獲得する過程について、DNAダメージ応答関連分子の定量比較及び、GATA1遺伝子関連領域のメチル化状態の比較を行った。次に、step2(promotion)のDNAダメージ修復機構の評価を行うために、細胞に故意にDNAダメージを誘導した時の修復系について検討した。結果、初期造血前駆細胞の分化段階まででは、disomy21とtrisomy21の細胞に DNAダメージ量及び、DNAダメージ修復機構の働きに有意な差は認められなかった。最後に、step3(progression)として、細胞増殖能の比較を行った。結果、未分化な状態では有意差は認められなかったが、血液前駆細胞分画においてtrisomy21細胞で細胞周期が亢進している傾向が見られた。そこで、検討を行う分化ステージの見直しを行った。初期造血前駆細胞から、我々が同定したTAMの表現型を誘導している血液前駆細胞分画までの間の段階において、GATA1変異タンパクが血球分化に及ぼす影響を時期別、系統別に検討した。この結果からGATA1遺伝子変異獲得の分化段階をより限定的に絞り込むことが出来、論文として報告した。
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[Journal Article] Down syndrome-related transient abnormal myelopoiesis is attributed to a specific erythro- megakaryocytic subpopulation with GATA1 mutation.2021
Author(s)
Nishinaka-Arai Y, Niwa A, Matsuo S, Kazuki Y, Yakura Y, Hiroma T, Toki T, Sakuma T, Yamamoto T, Ito E, Oshimura M, Nakahata T, Saito MK.
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Journal Title
Haematologica
Volume: 106 (2)
Pages: 635-640
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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