2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎盤の網羅的DNAメチル化解析による胎児発育不全の責任遺伝子の同定
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19K17360
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦名 満理子 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50836442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 / 酸化ストレス / 抗酸化力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、FGR児の胎盤サンプルの収集を行った。現在までに、在胎週数相当の出生体重-2SD未満の重症FGR児31例(平均在胎週数34週、平均出生体重1550.2g、男児16例、女児20例)の胎盤を収集し、-70℃の状態で冷凍保存している。生下時の酸化ストレスおよび抗酸化力の測定については、2017年3月~2018年12月の期間に当院で出生した、出生体重が在胎週数相当の-2SD未満のFGR児28例およびAGA児31例の生下時残余血清を用い、FREECarrio Duo(WISMERLL)により、酸化ストレス(d-ROM; derivative of reactive oxidative metabolites)、抗酸化力(BAP; biological anti-oxidant potential)を 測定し、比較検討した。また、回帰分析を行い、FGR児とAGA児において、d-ROMおよびBAPと出生体重SD値を比較した。結果は、患者背景は、出生体重、出生体重SD値、頭囲、身長がFGR児がAGA児と比較して有意に低かったが、母体背景、在胎週数、出生時血液ガス値に有意差はなかった。FGR児とAGA児の比較では、BAPに差を認めなかったものの、FGR児においてd-ROMおよびd-ROM/BAP比が有意に高かった。更に、FGR児において、出生体重SD値とd-ROMおよびd-ROM/BAP比は逆相関関係を認めた。以上より、FGR児はAGA児と比較して、生下時に強い酸化ストレス状態にあると考えた。更に、FGR児において、胎児発育遅延の重症度と生下時の酸化ストレスのレベルには有意な関係性があると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成31~令和3年に予定していた、FGR児とAGA児の酸化ストレス測定および臨床データの収集は終了しているが、研究代表者が妊娠・出産・育児のため研究継続 困難な期間があり、胎盤サンプル数もコロナ禍の影響で目標症例数である40例には到達していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、胎盤サンプルが目標症例数(40例)に達した段階で、DNA抽出を行い、遺伝子プロモーター領域の網羅的なDNAメチル化解析およびFGR児とAGA児における DNAメチル化率の比較検討などの遺伝学的解析を行う。加えて、胎盤サンプルの酸化ストレスおよび抗酸化力を測定し、胎盤のDNAメチル化データと酸化ストレス 状態の関連についても検討を行う予定である。
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