2019 Fiscal Year Research-status Report
母体へのべタメタゾン追加投与が動脈管閉鎖へ与える効果の検討
Project/Area Number |
19K17370
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
釼持 孝博 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20784713)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動脈管 / 活性酸素 / 酸素分圧 / 大動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は母体へのベタメタゾン投与から分娩までの間隔や、追加投与の有無と動脈管閉鎖の関連性を検討する予定としていたが、この検討を行う前の段階として、他の動脈管閉鎖に影響を与え得る因子について検討をしておかなければ条件を揃えてベタメタゾン投与についての検討を行うことができないのではないかと考えた。所属研究室では出生時の酸素分圧変化と動脈管閉鎖について検討を行ってきた実績があり、また現在の新生児管理において酸素使用量というのは未熟児網膜症や新生児慢性肺疾患の発症に密接に関連してくる因子でもあるため、その酸素分圧変化の影響をまず検討する方針に切り替えた。 所属研究室の先行研究により、出生によって生じる酸素分圧変化が活性酸素の上昇から最終的にbFGFの増加をもたらすことで動脈管閉鎖に影響を与えていることは証明されてきていた。そのため、胎齢21のラット胎仔から初代培養を行って得た動脈管平滑筋細胞・大動脈平滑筋細胞を用いて、各々の細胞における酸素分圧上昇による活性酸素量の変化を検討した。活性酸素の指標としてROS活性を用いたところ、低酸素状態(酸素濃度 3%)で培養した動脈管平滑筋細胞を大気下(酸素濃度 21%)に置くことでROS活性が上昇するが、大動脈平滑筋細胞ではその変化が生じないということが判明した。また、そのROS活性の上昇は、大気下に置かれてから1-2時間程度でピークを迎えて、6-8時間かけてゆっくりと低下していく、ということも合わせて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた研究の前段階として実施を開始した酸素分圧による活性酸素量変化の実験だったが、ごくわずかな条件の変化によりROS活性が大きく動いてしまうことにより実験結果のブレが大きく、安定した結果を得るために想定していたよりも多い回数で実験を反復する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は前述の結果を元に、動脈管平滑筋細胞と大動脈平滑筋細胞の活性酸素量変化の差異を生じる因子を検索する目的として各種インヒビターを用いた実験を進める予定としている。また、合わせて酸素使用量と動脈管閉鎖率との関連性を探る臨床研究を検討していく。これにより、元来予定している母体へのベタメタゾン投与についての検討において、どこまでの酸素使用量の差を許容できるかを設定することが可能になると想定される。
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Causes of Carryover |
前述の通り2019年度内では安定してROS活性の測定を行うことができなかったため想定より実験を進めることが困難であり論文作成や学会発表に至る成果を得ることができずに予算を使い切ることができなかった。 2020年度は予定の実験を進めることで論文作成や学会発表に結び付けるため、繰越し額と合わせて助成金を使用している方針である。
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