2019 Fiscal Year Research-status Report
早産児の代謝特性に着目した脳性麻痺への細胞治療研究
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19K17372
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 えみ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60823581)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 早産児 / 低酸素性虚血性脳症 / 脳代謝 / 脳性まひ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、早産児の脳代謝物の組成および虚血性脳障害における反応性の特殊性を理解し、適切な細胞治療プロトコールへつなげることである。また、研究遂行のために早産児に相当する虚血性脳障害モデル作製が不可欠であり、そのようなモデルの確立を行うことも本研究の目的である。
今年度は早産児脳障害モデルの確立を行った。Liらの総説では、受傷日は日齢2~5の幅があり、動物種と系統によって総頚動脈閉塞後の低酸素負荷時間も異なるとされている(Li J, et al. Front Neurol. 2014)。生後5日の特定系統のマウスを使用し、早産児の低酸素性虚血性脳症モデルマウスを作成した。Rice-Vannucciらの手法に基づき、左総頚動脈を結紮後に切断する。続いて8%の低酸素負荷は、我々が正期産モデルで行ってきたよりも長い負荷時間とした。正期産モデルでの既報と同様に、組織での傷害度は均質でなくばらつきをみとめた。行動評価を経時的に行ったところ、受傷後まもない時期には原子反射を含め差を認めなかったが、生後3週ごろより一定の神経機能障害を呈していた。神経機能障害と同様に、モデルマウスは体重増加も緩慢であり、7週間の長期経過でも低体重で推移した。長期生存率は70%未満で良好とは言えないが、生後5日時点では受傷前の体重に幅があるため、この点について再考が必要である。 現在、脳血流の変化や脳体積比率について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に研究代表者が産休育休を取得し、実験を行わなかった時期があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
長期コホートの行動、体重推移について報告したが、短期コホートでの代謝解析を進める必要がある。すでに取得している正期産および早産児モデルマウスの脳サンプルで、解析を行う。引き続き、早産児の虚血性脳障害における反応特殊性について、低分子代謝産物の観点から機序解明して行く。
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Causes of Carryover |
当該年度に研究代表者が産休育休を取得し、実験を行わなかった時期があり、計画より実験費用が少額となったため。また、関連する他の研究費から実験費用を支出したこともあり、計画より使用額が少なくなった。 次年度に多くの解析をまとめて実施する計画であり、短期コホートでの代謝解析の試薬・物品・測定委託、および解析にあてる予定である。
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