2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of probiotics on neonates after therapeutic hypothermia.
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19K17376
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池田 奈帆 順天堂大学, 医学部, 助教 (20773881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低酸素性虚血性脳症 / 新生児 / 脂肪酸 / 脂肪酸代謝産物 / 新生児低体温療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在わが国では、中等度以上の低酸素性虚血性脳症(HIE; hypoxic ischemic encephalopathy)の新生児に対して死亡率及び神経学的予後を改善するというエビデンスのもと、新生児低体温療法(TH; therapeutic hypothermia)が普及してきている。THのプロトコールが標準化される一方で、経腸栄養管理について統一された指針はなく、経腸栄養開始の遅れなどの臨床経過が生体代謝や腸内細菌叢へ及ぼす影響が懸念される。THを要する児の消化管消化不良はプロバイオティクスで改善するのではないかと仮説を立て、THを施行したHIE児におけるプロバイオティクス投与が及ぼす効果、及び急性期の経時的な脂肪酸代謝物のプロファイリングが神経細胞障害の病態解明や長期発達予後予測の指標となるかについて、臨床研究を計画した。 今年度倫理委員会の承諾を得た。TH療法を施行した低酸素性虚血性脳症児では該当症例が少なく、新生児仮死児として、低酸素性虚血性脳症群の対象を変更した後、新生児仮死例6例と、コントロール15例の臍帯血検体サンプリングを行った。現在新生児仮死症例群の残り9例の検体が採取を待っている。30検体が採取できた後、脂肪酸分析測定及び2群間比較の統計処理を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度と同様に該当する症例が集まらず、サンプル採取の段階で課題が残った。低酸素性虚血性脳症児の対象を低体温療法施行児のみにせず、新生児仮死児に広げることとし、軌道修正を行い検体採取を行った。 オーストラリアの研究室(SAHMRI)での脂肪酸代謝解析を予定していたが、世界的なコロナウイルスのパンデミックの影響で、渡豪計画が無期限延期となり、研究に支障をきたした。我々の施設で測定できる項目に絞り測定してくよう軌道修正を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在コントロール15例は採取終了し、現在仮死児の検体が6例採取できている。仮死児計15例を採取できたら、測定及び統計に入る予定である。 2群間での出生児の臍帯血における脂肪酸代謝の比較を行い、相違点及び発達予後の臨床データとの相関をみることで、仮死児における出生後の脂質栄養管理方針に繋がる。 研究の遅れから2021年度では研究結果が出せなかったため、1年延長し、研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
オーストラリアでサンプル測定を予定していたが、コロナにより研究が全ておくれ、軌道修正が必要となった。また、低体温療法児の検体が集まらず、仮死児の定義を広めることにより、検体採取を可能となるよう軌道修正を行った。大幅な研究の遅れにより、未使用額が発生した。1年研究を延長とし、次年度に使用予定である。 使用用途としては、輸送費、雑費に加えて、現在臍帯血のみの測定を予定していたが、新生児仮死児の便中細菌叢測定の外部委託も検討している。また、学会発表及び論文作成の校正投稿料への使用を考えている。
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