2021 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮増殖因子スプライシングアイソフォームを制御する筋ジストロフィー治療の検証
Project/Area Number |
19K17380
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
下村 英毅 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30441273)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / スプライシング異常 / 血管内皮増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Duchenne 型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンタンパクの異常に発症する進行性の筋萎縮症であり、2010年頃より本疾患に対する新規治療法の治験が 全世界で行われている。近年、血管内皮増殖因子(VEGF)のスプライシングアイソフォームの一つであるVEGF-A165aが、本疾患の病態を改善する可能性が報告された。この研究では、VEGFのスプライシングを修正し、スプライシングアイソフォームをVEGF-A165a優位にシフトすることで、新規治療を開発することを目的にする。2020年度は、過去に筋生検を行ったDuchenne型筋ジストロフィー患者の生検筋、その他の筋疾患症例の生検筋より抽出したRNA、および正常筋由来mRNAを鋳型として、VEGF-Aのスプライシングアイソフォームの発現様式をダイレクトシーケンス法で解析した。現在は昨年度に引き続き、症例の蓄積を行っている。また、蓄積した症例の臨床所見とスプライシングアイソフォームの発現様式を比較している。発現様式の比較にはダイレクトシーケンスによる比較と、RNAシーケンス解析を用いた定量性の比較を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度はまずヒト正常筋由来mRNAを解析し、VEGF-Aのスプライシングアイソフォームの解析を行った。2021年度は患者生検筋を用いて症例の蓄積と正常筋由来mRNAとの比較を行う予定であったが、社会環境の悪化により症例の蓄積が想定していたように進んでいない。2022年はさらに症例を蓄積し、mRNAの解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、Duchenne型筋ジストロフィーを含めた筋疾患由来mRNAの解析と比較を進めていく。さらにrealtime RT (reverse transcription)-PCR法、RNAシーケンス法により定量的に解析する。正常および各病態におけるアイソフォーム様式を検討することにより、VEGF-A165aなどの各アイソフォームの関与を検証する。その結果に基づき、AS-oligoによりスプライシングを制御し、VEGF-A165aなどの病態改善に関与するアイソフォーム優位の発現様式にスプライシングをシフトし得ることを以下のように検証する。VEGF-Aの標的となるエクソンあるいは周辺イントロンの塩基配列に対しinsilico解析を行い、スプライシング促進配列と抑制配列を同定するとともに、対応するAS-oligoの作成を進めていく。
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Causes of Carryover |
理由:当初予定していた試薬を購入するに至らなかったこと、社会環境の悪化のため出張旅費の使用予定額が大幅に減少したことで次年度使用額が生じた。 使用計画:試薬等の購入にあてる予定である
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