2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating molecular network of Dravet syndrome by genetic approaches
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19K17381
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石井 敦士 福岡大学, 医学部, 准教授 (90568825)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | てんかん / エクソーム解析 / 遺伝子解析 / 次世代シークエンサー / 発達性てんかん性脳症 / ドラベ症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドラベ症候群は乳児期に多くは発熱に伴って発症し、その後は多彩な発作型を呈し、抗てんかん薬に抵抗性の難治性てんかんである。最終的には重度精神発達遅滞を来たし、発達性およびてんかん性脳症と呼ばれる。主たる病因遺伝子は電位依存性ナトリウムイオン(Na+)チャネル(NaV1.1)をコードするSCN1A遺伝子である。欧米では臨床的に診断されたドラベ症候群の約70%にSCN1A遺伝子の塩基置換や微細欠失が見られている。一方で、本邦では我々が448名のドラベ症候群患者に対してSCN1A遺伝子変異の探索を行ったところ変異が見られたのは42%であった。この違いは、ドラベ症候群の表現型が多彩であり、発症初期には臨床診断が困難である点がある。臨床的にドラベ症候群と診断されるなかで、SCN1A遺伝子変異を持つ群と、持たない群での表現型の明確な違いは不明瞭である。 そこで、多彩な表現型を持つドラベ症候群の病因となる遺伝子を網羅し、その遺伝子異常による神経細胞内の他の分子発現量の影響を明らかにし、分子ネットワークの全容を捉え、病態機序を明らかにすることを目的とした。 次世代シークエンサーによるSCN1A遺伝子を含む114個のてんかん関連遺伝子に対してパネルシークエンスを行い、変異同定に至らなかった86名のドラベ症候群症例に対して全エクソーム解析を行った。全エクソーム解析では、14名でSCN1A遺伝子に変異を検出した。残り72名のうち33名にde novoの病的バリアントを認めた。現時点では、33名中29名でPCRサンガー法で発端者と両親で確認し確定した。29名で同定した遺伝子は24遺伝子であった。てんかんで報告のない遺伝子についてcDNAを作成しin vitro実験の準備を行っている。既に新規の遺伝子が見つかったことは、ネットワークを同定するに重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年間で72名のSCN1A遺伝子変異を持たないドラベ症候群とその両親に対して全エクソーム解析を行い33名にde novoの病的バリアントを同定している。それらは、24種類の遺伝子であり、ドラベ症候群ではSCN1A遺伝子以外の多くの遺伝子が原因となることが判明した。当初の予定通り、ネットワーク同定の目的でIn vitro実験の準備のため、cDNAを作成することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、新規のSCN1A遺伝子変異を持たないドラベ症候群で全エクソーム解析を行っていき、より多くの遺伝子同定を行う。初年度に、全エクソーム解析で遺伝子同定に至らなかった39名に対しては、コピー数解析をXHMMとEXCAVATOR2を使用し行う。同定できない場合は、全ゲノムシークエンス、ロングリードシークエンスを行う。SCN1A遺伝子変異と同定した遺伝子変異を各々別々に培養神経細胞にCRISPR/Cas9で内在遺伝子に導入し、シングルセルRNAシークエンスを行い、細胞内の全遺伝子のRNA発現量を比較し、増減が共通する部分を抽出し、分子相関図をKEGG pathway (https://www.genome.jp/kegg/pathway.html), STRING (https://string-db.org/)といったエビデンスに基づいたパスウェイプログラムで解析し、分子ネットワーク図を作成する。 作成した分子ネットワーク図を基に、SCN1A遺伝子がコードするNaV1.1と直接的に相互作用の報告がない分子を優先に免疫沈降やファーウエスタンブロットでNaV1.1との相互作用を確認する。間接的(機能的)作用については電気生理学的検証を行い確認する。この作業を、ネットワーク上の分子に網羅的に行い分子ネットワークを明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初は、次世代シークエンサーによるエクソーム解析での費用を主に見積もっていたが、他の研究でシークエンスしたデータを多く利用できたためエクソーム解析の費用が生じなかった。次年度は、新規のシークエンスが増え、細胞実験も増えるため繰越金をシークエンス費用に充てる計画である。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Quinidine therapy and therapeutic drug monitoring in four patients with KCNT1 mutations2019
Author(s)
Yoshitomi, Shinsaku Takahashi, Yukitoshi Yamaguchi, Tokito Oboshi, Taikan Horino, Asako Ikeda, Hiroko Imai, Katsumi Okanishi, Tohru Nakashima, Mitsuko Saitsu, Hirotomo Matsumoto, Naomichi Yoshimoto, Jun Fujita, Takako Ishii, Atsushi Hirose, Shinichi Inoue, Yushi
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Journal Title
Epileptic Disord
Volume: 21
Pages: 48~54
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんにおける発作抑制期間と発達予後の関連2019
Author(s)
野村 敏大, 本橋 裕子, 石山 昭彦, 竹下 絵里, 齋藤 貴志, 小牧 宏文, 中川 栄二, 須貝 研司, 才津 浩智, 藤田 京志, 松本 直通, 石井 敦士, 廣瀬 伸一, 佐々木 征行
Organizer
第61回日本小児神経学会学術集会
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