2023 Fiscal Year Annual Research Report
腸内環境からNAFLD、NASH進展への解明:メタゲノム解析とメタボローム解析
Project/Area Number |
19K17387
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
飯野 勢 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90814343)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NAFLD / NASH / 腸内細菌叢 / エクオール / MASLD / MASH |
Outline of Annual Research Achievements |
Gut-Liver-axisの破綻により、腸管透過性が亢進することで、肝臓へのエンドトキシンの暴露が増加し、NAFLD・NASHへの病態が進行していくことがわかっている。このためNAFLD・NASHでは腸内細菌叢が大きく、変化している。NAFLD罹患者の腸内細菌叢の評価を行った。腸内細菌に影響を与える性別や年齢といった因子の調整を行い、NAFLDでの多様性の変化とFaecalibacteriumの有意な減少を示した。善玉菌であるFaecalibacteriumは腸内に定住する代表的な酪酸産生菌でありLipopolysaccharidesと負の相関が報告されている。このNAFLDでのFaecalibacteriumの減少は、腸管由来のエンドトキシンの上昇を反映しており、Gut-Liver-axisの破綻を示している。 エクオールは、エストロゲン作用によりメタボリックシンドロームに対して防護的に働く可能性が報告されている。女性はNAFLDの罹患率がエストロゲンを利用できる閉経前は男性より低いが、閉経後において、NAFLDの罹患リスクが上昇することが知られている。我々もエストロゲン作用と脂肪肝の関連について検討を行ったところ、肥満型のNAFLDとは代謝機序が異なるやせ型のLean NAFLDの男性においてエクオールの産生者が極めて少ないことが判明した。LEfSeの解析でも、このLean NAFLDは腸内細菌叢においても正常のやせ型の対象者との比較、そしてLean NAFLDの女性と比較しても、特にSlackiaが有意に減少していることが確認された。Lean NAFLDはエクオール産生能が発症に関わっていると考えられ、エクオールを摂取することで、脂肪肝の発症や改善が認められる可能性がある。
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