2022 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病の胆汁腸肝循環動態とFXR/FGF19の機能解析
Project/Area Number |
19K17390
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齊藤 景子 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30836416)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | クローン病 / シネMRI / 胆汁酸 / FXR/FGF19 |
Outline of Annual Research Achievements |
シネMRIを用いて腸管蠕動の評価を行う患者の抽出と検査実施を進めた。クローン病15症例にシネMRI実施し、クローン病自体の病変部の確認(腸管病変の範囲、活動性、痔瘻など瘻孔)、狭窄部位の同定と程度の評価、腸液の流動異常や腸液通過時間、腸液滞留の有無などの評価を行った。12症例で狭窄が指摘されている部位の腸壁肥厚、腸液流動異常、腸液の滞留が認められていた。3症例には腸壁肥厚は認めたが、腸液滞留や狭窄前拡張いずれも認めておらず、うち2症例については検査後の内視鏡で線維性狭窄には至っていないことが確認され、腸液滞留、狭窄前拡張を腸管蠕動異常の評価基準の1つと考えた。15症例に対して、胆汁酸の液体クロマトグラフィー質量分析を行ったところ、いずれの症例でも便中のケノデオキシコール酸の増加とデオキシコール酸の減少が認めており、シネMRIでの腸液滞留の有無に関わらず、クローン病症例では腸肝循環が阻害されていることが推定された。当初の予想と異なり、クローン病症例のなかでは組成の明らかな相違を明らかにすることができなかった。現在、血清FGF19の測定と炎症のある腸粘膜生検検体においてFXRのmRNA発現をqPCRで測定し、症例ごとに差がないか検討しているところである。科研費の研究期間内では最終の結果を得るまでには至らなかったが、今後上記結果をもとに、大腸癌由来細胞株Caco-2を用いた疑似腸管粘膜上皮モデルにおいて、shRNAやプラスミドをトランスフェクションにてFXR、FGF15/19のknock down、または、over expressionさせ、経上皮電気抵抗(TER)測定し、電気生理学的なバリア機能評価を行ったり、Tight 結合構成蛋白やGAP結合構成蛋白など、粘膜バリア機能の恒常性を維持する蛋白発現の変異をmRNA発現、蛋白発現の実験を通じて検証することで粘膜バリア機能への胆汁酸の関与を分析するなど追加実験を行ったうえで、学会、論文での報告を行う予定である。
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