2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K17391
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Research Institution | The Institute for Adult Diseases Asahi Life Foundation |
Principal Investigator |
藤原 弘明 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (00814500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝内胆管癌 / IDH変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管癌は5年生存率10%と予後不良な疾患であるが、治療に有効な分子標的は未だ明らかでない。近年、ゲノムシークエンス解析によって新たに同定されたイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の変異は、肝内の胆管癌に特異的で(約20%)、肝吸虫症やウイルス性肝炎といった危険因子の無い症例に集積する。これらの疫学的データからは、炎症性発癌とは異なる独自の分子プロファイルを持つことも示唆されるが、その病態は未だ明らかでない。 IDHは細胞内でイソクエン酸をα-ケトグルタル酸(αKG)に変換する酵素である。細胞質(IDH1)とミトコンドリア(IDH2)に存在し、変異型IDHは、野生型の産生したαKGから特異的代謝産物2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)を産生する。2-HGはαKG依存性のヒストン又はDNA脱メチル化酵素の活性を阻害するため、IDH変異は細胞のメタボロームやエピゲノム・遺伝子発現に幅広く影響し、グリオーマや急性骨髄性白血病では発癌への寄与が報告されている。 しかし、肝内胆管癌の発癌におけるその機能的役割は未だ不明である。これまでの検討では、正常肝内胆管細胞にIDH変異を発現させると、主にメタボロームの観点から、癌化に特徴的な変化が生じるものの、単独では腫瘍形成能の獲得には至らないことが分かった。そこで我々は、更に複数の遺伝子異常を組み合わせて導入し、単独で導入した場合に加えてIDH変異がどのような生物学的意義を有するのか、明らかにすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究進捗として、肝内胆管癌で報告されている幾つかの遺伝子異常と、IDH変異を併せ持つ胆管上皮細胞モデルを複数ライン、樹立することに成功した。これらのうち幾つかは、IDH変異単独で導入した場合と比較して、その増殖能や形態に明らかな変化をきたしており、今後はその背景にある分子メカニズムについて解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回樹立に成功した、IDH変異と他の遺伝子異常を併せ持つ胆管上皮細胞モデルの、分子生物学的特徴について解析する。また、IDH変異単独では獲得し得ない、腫瘍形成能の有無についても、併せて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験者の技術レベル向上により、当初よりもスモールスケールで1回の実験・アッセイが可能になった結果、胆管上皮細胞の継代・維持に必要な試薬量を削減することが出来たため。 次年度に予定している細胞株の腫瘍形成能など、生物学的評価に使用する計画である。
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[Journal Article] Mutant IDH1 confers resistance to energy stress in normal biliary cells through PFKP-induced aerobic glycolysis and AMPK activation2019
Author(s)
Fujiwara Hiroaki, Tateishi Keisuke, Misumi Kento, Hayashi Akimasa, Kato Hiroyuki, Nakatsuka Takuma, Suzuki Nobumi, Hayakawa Yoku, Nakagawa Hayato, Tanaka Yasuo, Ijichi Hideaki, Kogure Hirofumi, Nakai Yosuke, Isayama Hiroyuki, Hasegawa Kiyoshi, Fukayama Masashi, Soga Tomoyoshi, Koike Kazuhiko
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 9
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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