2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19K17391
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Research Institution | The Institute for Adult Diseases Asahi Life Foundation |
Principal Investigator |
藤原 弘明 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (00814500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 代謝 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型及び変異型イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)を安定発現するマウス肝内胆管上皮細胞に対し、クロマチンリモデリング関連遺伝子の変異やホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)経路の異常を追加導入することで、肝内胆管発癌過程を解明する実験を行っている。IDH1変異安定発現肝内胆管細胞へ、これらの遺伝子変異やシグナル伝達の異常を単独で導入しても、ヌードマウスへの皮下移植実験における腫瘍形成能は安定しなかった。しかしながら複数を組み合わせることにより結果の再現性を高めることに成功した。形成された皮下腫瘍の組織像を解析したところ、単層で異型性の乏しい胆管上皮から、重層化した異型上皮、更には上皮内癌 BilIN(biliary intraepithelial neoplasia)-3に至るまで、発癌に至る様々な段階における特徴的な組織像を呈していた。一部ではあるが胆管癌も形成されており、その分化度についても、比較的腺管構造が保たれた高分化型腺癌の像を呈するものから、腺管形成に乏しい低分化型腺癌まで様々であった。野生型IDH1発現胆管上皮細胞に由来する皮下腫瘍と比較して、変異型IDH1発現細胞から形成された皮下腫瘍では、非癌上皮及び癌腺管における異型度が強く、IDH1変異の発癌過程におけるドライバー変異としての性質を反映した結果と考えられた。今後は、皮下腫瘍を形成する野生型及び変異型IDH1発現胆管上皮細胞のRNAシークエンス解析の結果から、上記のような表現型の差異に繋がるIDH1変異の標的遺伝子を同定し、更なる分子メカニズムの解明へと計画を進めていく予定である。
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