2020 Fiscal Year Research-status Report
酸化的DNA傷害修復酵素欠損マウスを用いたNASH肝発癌機序の解明および治療応用
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19K17405
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 信悟 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60561024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / MUTYH / 酸化的DNA傷害修復酵素 / マイクロRNA核酸医薬 / 抗酸化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
NASHは肝硬変・肝細胞癌へと進行する疾患であるが,現時点で確立された治療法はない.ヒト疾患の治療研究には動物モデルが必須であり,NASH動物モデルについても数多く報告されているが,その病態を完全に模倣する動物モデルは存在せず,このことが治療法開発の進まない原因と考えられている.申請者らはNASH肝発癌における酸化的DNA傷害修復酵素MUTYHの関与について着目し,MUTYH欠損マウスに高カロリー・高酸化ストレスを負荷して作成される新規NASHモデルマウスを作成した.本研究は同マウスの評価および新規抗酸化療法(マイクロRNA核酸医薬)の開発を目的としている. 本マウスの評価として体重測定,血液生化学的検査,マウス肝の組織学的評価(HE,鉄沈着,8-OHdG定量),肝腫瘍の評価を行った.さらに,野生型マウスおよび肝発癌を認めたMUTYH-nullマウスの非癌部肝組織の遺伝子発現についてマイクロアレイ法を用いて比較し,肝発癌におけるWnt/β‐cateninシグナル経路の関与およびc-Myc遺伝子の発現亢進を確認した. 新規抗酸化療法の開発については,まず既存の抗酸化剤投与による治療効果および肝発癌抑制効果を検討した.本マウスに生後8週から高カロリー・鉄過剰食に加えてN-Acetyl-L-cysteine(NAC) または Curcuminを投与し,給餌後9ヶ月時点で屠殺を行い肝発癌抑制効果を検討しているが,現時点で有意な肝発癌抑制効果が得られていない. 今後,新規薬剤(マイクロRNA核酸医薬)投与による肝発癌抑制効果についても検討予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗酸化剤としてN-Acetyl-L-cysteine(NAC) , Curcuminを投与したが,現在のところ期待した肝発癌抑制効果は得られておらず,投与量等の再考を行っている. 新規核酸医薬の開発については,昨今の社会情勢(新型コロナ問題)により,若干の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
新規核酸医薬の開発については,他の研究者にも助言を求めるなどして,研究ペースを早める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,昨今の社会情勢(新型コロナ問題)等により,マイクロRNA核酸医薬についての研究が遅れ,比較的高価な試薬の購入が次年度になったためである. 使用計画については予備実験が終了次第,可及的速やかにマイクロRNA核酸医薬に必要な試薬を購入予定である.
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