2021 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的DNA傷害修復酵素欠損マウスを用いたNASH肝発癌機序の解明および治療応用
Project/Area Number |
19K17405
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 信悟 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60561024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / 肝細胞癌 / MUTYH / マウスモデル / 抗酸化療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
NASHは肝硬変・肝細胞癌へと進行する疾患であるが,現時点で確立された治療法はない.ヒト疾患の治療研究には動物モデルが必須であり,NASH動物モデルについても数多く報告されているが,その病態を完全に模倣する動物モデルは存在せず,このことが治療法開発の進まない原因と考えられている. 申請者らはNASH肝発癌における酸化的DNA傷害修復酵素MUTYHの関与について着目し,MUTYH欠損マウスに高カロリー・高酸化ストレスを負荷して作成される新規NASHモデルマウスを作成した.本研究は同マウスの評価および新規抗酸化療法の開発を目的とした. 本マウスの評価として体重測定,血液生化学的検査,肝臓の組織学的評価(HE,鉄沈着,4-HNE,8-OHdG定量,腫瘍の有無)を行った.食餌による差異についてはcontrol食,高脂肪+高コレステロール食(HFHC),HFHC+鉄過剰食(HFHC+Fe)と段階的に酸化ストレスの指標とされる4-HNEおよび8-OHdG量の増加を認めた.MUTYH wildマウスにHFHC+Feを給餌しても肝腫瘍は認められなかったが,MUTYH-nullマウスにHFHC+Feを給餌したところ25%のマウスに肝腫瘍が認められた.同マウスに肝発癌抑制効果を検討するためN-Acetyl-L-cysteine(NAC) を投与したが13%のマウスに肝腫瘍がみられた.発癌マウスと非発癌マウスの背景肝について遺伝子発現を比較検討したところ,ヒトの肝細胞癌で比較的高頻度に認められるWnt/β cateninシグナル異常の肝発癌への関与が示唆された.
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