2019 Fiscal Year Research-status Report
腸管粘膜傷害におけるプロスタグランジン輸送タンパク(SLCO2A1)の役割の検討
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19K17408
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西田 裕 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60804705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SLCO2A1 / プロスタグランジン / マクロファージ / NLRPインフラマソーム / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
Slco2a1-/-マウスにおいて自然発生腸炎を認めず、発症にセカンドヒットが必要と考え、DSS腸炎モデルを作成した。DSS腸炎モデルでは、Slco2a1-/-マウスで腸炎が悪化していた。腸炎の悪化に関わる遺伝子発現を網羅的に解析するため、腸管組織のマイクロアレイ解析を行なったところ、Tnf、Il1bなどの炎症性サイトカインや、Ccl2、Ccl4などのケモカインの遺伝子発現が亢進していた。IL-1βはNLRP3インフラマソームにより活性型となるため、NLRP3に焦点を当て評価した。Slco2a1-/-マウスにおいて、mRNAではIl1bの上昇とCasp1の低下を認め、mature-IL-1β、cleaved-caspse-1、NLRP3の蛋白発現が亢進しており、インフラマソームが活性化していることが示唆された。マクロファージのNLRP3インフラマソームの活性化がDSS腸炎に関与していることが報告されており(Bauer,C. et al. Gut 59, 1192-1199)、マイクロアレイのデータからもマクロファージの関与が示唆されたため、Slco2a1-/-マウスと野生型マウスのDSS腸炎モデルの大腸よりマクロファージを分離したところ、Slco2a1-/-マウスのmRNAでIl1bの上昇とCasp1の低下を認めた。また骨髄マクロファージを分離後、LPSで刺激したところ、mature-IL-1β、cleaved-caspse-1、NLRP3の蛋白発現が亢進した。 マクロファージのSlco2a1欠損が腸炎を悪化させているのかを確認するため、Lysozyme M特異的SLCO2A1ノックアウトマウスのDSS腸炎モデルで腸炎が高度であった。腸管上皮特異的SLCO2A1ノックアウトマウスでは腸炎は軽減しておりマクロファージのSlco2a1が炎症に重要な因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Slco2a1-/-マウスでは腸炎が悪化し、マイクロアレイの結果から、NLRP3インフラマソームに着目した。Slco2a1-/-マウスではNLRP3インフラマソームがより活性化し、腸炎が悪化していると考えられる結果が得られ、NLRP3インフラマソームの阻害薬投与により、腸管の炎症が軽減した。 またマクロファージでインフラマソームが活性化しているという結果も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージのインフラマソーム活性は、Slco2a1欠損によるPGE2の濃度変化によるものと仮説を立てており、大腸組織やマクロファージのPGE2の濃度を測定していく。またPGE2の代謝に関連するmRNAの発現なども測定し、その結果からSlco2a1のノックアウトによる影響による、SLCO2A1のトランスポーターの働きや作用を明らかにする。 またその結果をみて、PGE2やインドメタシン、EPレセプターなど新規治療薬探索としての投与を、マウスモデルを用いて行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の研究結果としてSlco2a1-/-マウスではNLRP3インフラマソームがより活性化し、腸炎が悪化していると考えられる結果が得られ、NLRP3インフラマソームの阻害薬投与により、腸管の炎症が軽減したという結果が得られた。また、Slco2a1-/-マウスではNLRP3インフラマソームがより活性化し、腸炎が悪化していると考えられる結果が得られ、NLRP3インフラマソームの阻害薬投与により、腸管の炎症が軽減することが判明した。おおむね計画通り順調に経過しておりそのため次年度使用額が生じた。次年度には、マクロファージのインフラマソーム活性は、Slco2a1欠損によるPGE2の濃度変化によるものと仮説を立てており、大腸組織やマクロファージのPGE2の濃度を測定していく。またPGE2の代謝に関連するmRNAの発現なども測定し、その結果からSlco2a1のノックアウトによる影響による、SLCO2A1のトランスポーターの働きや作用を明らかにする予定である。
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[Presentation] 腸炎モデルマウスを用いたSlco2a1の役割の検討2019
Author(s)
細見 周平, 中田 理恵子, 奥田 博朗, 古瀬 昧澄, 西田 裕, 鋳谷 成弘, 鎌田 紀子, 永見 康明, 谷川 徹也, 渡辺 俊雄, 中村 吉伸, 中西 猛夫, 藤原 靖弘
Organizer
第57回日本小腸学会学術集会
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[Presentation] Slco2a1 deficiency exacerbates experimental colitis via inflammasome activation in macrophages2019
Author(s)
Rieko Nakata, Shuhei Hosomi, Yoshinobu Nakamura, Naoko Sugita, Yu Nishida, Shigehiro Itani, Koji Otani, Fumio Tanaka, Yasuaki Nagami, Noriko Kamata, Koichi Taira, Hirokazu Yamagami, Tetsuya Tanigawa, Toshio Watanabe, Takeo Nakanishi, Ikumi Tamai, Yasuhiro Fujiwara
Organizer
Digestive disease week
Int'l Joint Research