2022 Fiscal Year Annual Research Report
ボノプラザンはNrf2パスウェイを利用した小腸潰瘍治療薬になるか?
Project/Area Number |
19K17411
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西 利男 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20244759)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ボノプラザン / 小腸潰瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃潰瘍治療薬のボノプラザンは、胃粘膜の壁細胞にあるプロトンポンプを阻害し、塩酸分泌を抑制することが知られている。類似薬のランソプラゾールは、この主作用と独立して、抗酸化ストレスタンパク質の発現を制御する転写因子であるNrf2を核内移行させることで活性を促進させることが報告されている。ラットの小腸、肝臓、腎臓において実証した。我々は、ボノプラザンでも同様な効果を示すかラットをもちいて探索したところ、小腸でNrf2活性を見出したため、更に小腸のどのような部位でより強く示すかを明らかにし、また、この効果が腸疾患に対し予防効果を示すかを明らかにすることを目的として研究を行っている。 小腸を細分化し、ボノプラザンによるNrf2活性についてヘムオキシゲナーゼ(HO-1)の遺伝子発現上昇を指標に詳細に解析を行ったところ、特定の領域においてボノプラザンによるHO-1の発現上昇を認めた。 新型コロナウイルス感染症の影響で研究が想定通りに進まなかったが、ランソプラゾール以外の胃潰瘍治療薬でも特定の部位でのNrf2誘導能を認めたため、ヒトにおいて小腸潰瘍には一定の有効性を認める可能性が考えられることを明らかにした。 今後の研究の展望としては、小腸は腸管の中でも長い臓器のため、特定の部位でのみ効果を示すことは非常に臨床的意義が薄いと考え、小腸もしくは最低限空腸または回腸においてNrf2誘導能を広く示すような薬剤をセレクションが必要であることを明らかにできた。
|