2019 Fiscal Year Research-status Report
Helicobacter pylori未感染胃癌における腫瘍発生機構の解明
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19K17412
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
赤澤 陽一 順天堂大学, 医学部, 助教 (80822006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘリコバクターピロリ / 胃癌 / ヘリコバクターピロリ未感染胃癌 / 胃底腺型胃癌 / 次世代シーケンサー / エピゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では2013年にHelicobacter pylori(H. pylori)感染胃炎に対する除菌治療が保険収載され、H. pylori感染率は年次的に低下傾向を示しているが、現在においてもH. pylori未感染胃癌が全胃癌の約1%に存在し、かつ、その報告は近年増加傾向にある。H. pylori未感染胃癌の発癌に関連するゲノム・エピゲノム異常は未知の点が多く、発癌・進展機構の分子生物学的解析が急務である。そこで本研究ではH. pylori未感染胃癌患者の生命予後の改善のため、治療成績の向上の要となる発癌原因因子を特定する事を目的として、次世代シーケンサーを用いたゲノム異常・エピゲノム異常の網羅的解析を行い、新規胃癌発生経路の発見を目指すとともに、生物学的解明に基づいた新規治療標的、バイオマーカー発見による臨床応用への道を切り開くことを目的としている。 我々はH. pylori未感染胃癌39例の症例蓄積を既に終えている。これらのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体から、腫瘍組織DNAを抽出し、Ion AmpliSeq Comprehensive Cancer Panelを用いて409遺伝子に対する網羅的遺伝子解析を開始している。全例でペア正常検体についても解析を行い、後天的体細胞変異の絞り込みを行う予定である。我々はまた既にH.pylori未感染胃癌の一病型である胃底腺型胃癌13例に関しての網羅的遺伝子変異解析を終えており、TCGAで報告のある4つの分子サブタイプとは異なる新規分子サブタイプを示す可能性を示唆するデータを得ている。また、エピゲノム解析としてNGSを用いたバイサルファイトシーケンス解析によりメチル化DNA解析を行う予定である。上記で得られたデータをパスウェイ解析施行する事により、H.pylori未感染胃癌発癌・進展過程に関わるゲノム異常・エピゲノム異常候補の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はH. pylori未感染胃癌症例について蓄積を既に終えた症例のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体からの腫瘍組織DNAを抽出はすでに終了している。現在Ion AmpliSeq Comprehensive Cancer Panelを用いて409遺伝子に対する網羅的遺伝子解析を開始し、すでに複数例の結果を得ている。我々はまた既にH.pylori未感染胃癌の一病型である胃底腺型胃癌13例に関しての網羅的遺伝子変異解析を終えており、TCGAで報告のある4つの分子サブタイプとは異なる新規分子サブタイプを示す可能性を示唆するデータを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
H. pylori未感染胃癌症例に対する網羅的解析を終えたのち、エピゲノム解析としてNGSを用いたバイサルファイトシーケンス解析によるメチル化DNA解析、上記で得られたデータのパスウェイ解析を予定し、H.pylori未感染胃癌発癌・進展過程に関わるゲノム異常・エピゲノム異常候補の同定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサー関連試薬の購入を予定していたが、新規対象症例の集積に時間を要することから、試薬の期限を考慮し次年度使用予定とした。
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