2020 Fiscal Year Research-status Report
膵液中エクソソームによる膵癌進展機序の解明と新規診断法の開発
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19K17420
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝川 哲也 東北大学, 大学病院, 助教 (70836882)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / long non-coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は膵液中に存在する膵癌特異的なエクソソームに着目し、膵癌進展機構の解明と膵癌早期診断への応用を目的として研究を開始した。しかし、マウスとヒトの膵液から超遠心法によりエクソソーム単離を試みたが、収量が少なく安定的な採取が困難であった。そこで、昨年度は血清エクソソームを用いたバイオマーカーの開発を目指し、膵癌患者20例、慢性膵炎など良性疾患11例の血清からエクソソームを抽出した。 本年度は、まず膵癌患者と良性疾患患者の血清エクソソームからtotal RNAをそれぞれ抽出し、バイアナライザと用いて良好な品質であることと十分な濃度のRNAが含まれていることを確認した。次に両患者間におけるエクソソーム中の遺伝子プロファイルの相違を次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析した。本研究では近年様々ながん腫においてその関与が注目されているlong non-coding RNS(lncRNA)に対象を絞って検討を行い、膵癌患者で上昇するlncRNA12種類、低下するincRNA16種類をバイオマーカーの候補として同定した。 今後は同定したlncRNAに関してreal time PCR法もしくはdigital PCR法を用いてより多くの患者群でvalidationを行い、血清エクソソーム中のlncRNAを用いた診断モデルの構築を目指す。また同定したlncRNAが膵癌進展に関わるメカニズムの検討も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定でった膵液中からのエクソソーム抽出を安定的に施行することができず、血清エクソソームに対象を変える必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
血清エクソソームから膵癌バイオマーカーの候補となるlong non-coding RNAを複数同定することができたため、real time PCR法もしくはdigital PCR法を用いてvalidationを行う。また同定されたlncRNAの膵癌進展に関わるメカニズムを解析すると同時に、膵癌の進行度や治療反応性、生存期間などとの関連を検討し、膵癌早期診断や予後予測マーカーへの応用が可能か検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更により進行がやや遅れており、予定していた実験に使用する物品(例えばRNAの発現量・機能解析のためのプライマーや試薬など)が未購入であるため未使用額が生じた。 今後は血清エクソソーム中のlong non-coding RNAをターゲットとした実験を計画しており、当該助成金を使用する予定である。
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