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2020 Fiscal Year Research-status Report

NUDT15遺伝子に着目したチオプリン製剤の薬物動態の解明と臨床応用

Research Project

Project/Area Number 19K17443
Research InstitutionKitasato University

Principal Investigator

清原 裕貴  北里大学, 北里研究所病院, 医師 (20626379)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
KeywordsNUDT15 / チオプリン / 白血球
Outline of Annual Research Achievements

チオプリン製剤は炎症性腸疾患の寛解維持療法のkey drugの一つである。しかし、その代謝経路の複雑性と代謝能の個体差から至適な効果を得るために必要な投与量は患者毎によってまちまちであり、また重篤な白血球減少や脱毛といった副作用が時に問題になる。近年NUDT15遺伝子多型が白血球減少のリスク因子であることが明らかとなった。
本研究はNUDT15遺伝子多型の有無によってチオプリン製剤代謝物の白血球中DNAへの取り込みの違いや白血球減少との関連を検討し、NUDT15遺伝子変異患者においてチオプリン製剤による重度の白血球減少が起こる機序を解明することを目的としている。
前年度までの検討において、NUDT15遺伝子変異を有する患者は、野生型に比べ、チオプリン製剤投与による白血球DNAへのdeoxythioguanosine(dTG)の取り込みが亢進していることが明らかとなっており、患者の白血球DNA中のdTG濃度と、末梢血リンパ球数の間には負の相関があることも分かっていた。今年度は、白血球減少が起こる機序を解明するため、チオプリン製剤を使用していない患者由来の末梢血単核球(PBMC)からCD4+リンパ球を単離し、チオプリン製剤の代謝産物の一つである6-thioguanineとin vitroで共培養を行った。
白血球DNA中dTG濃度は共培養により経時的に高くなる傾向であり、野生型よりもホモ変異において有意に高いことが明らかとなった。さらにフローサイトメトリーを用いたアポトーシスに関する検討についても、ホモ変異患者由来のCD4+リンパ球では有意にアポトーシスを起こす細胞の割合が多いことが明らかとなった。この結果は、6-TGをはじめとするチオプリン製剤の代謝物が、NUDT15遺伝子ホモ変異患者においては野生型患者より亢進し、またアポトーシスおよび白血球減少と関連する可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

対象患者のリクルートは前年度までで終了しており、合計54名のチオプリン製剤使用患者より協力を得ている。また、前年度までの検討で、NUDT15遺伝子変異を有する患者においては、チオプリン製剤の代謝産物であるdTGの白血球中DNA中濃度が野生型の患者よりも高く、取り込みの亢進が起こっていることが明らかとなっている。これが同遺伝子変異を有する患者における白血球減少を来しやすいことと関連している可能性が示唆されていたがその機序については不明であった。当該年度においては、白血球DNA中のdTG濃度高値と白血球減少をつなぐメカニズムとしてアポトーシスの亢進を考えており、これについてのin vitroの試験をおこなった。この結果、NUDT15遺伝子変異を有する患者においては、野生型の患者と比較して、同一条件下の培養後のフローサイトメトリー解析の結果から、アポトーシスがより高頻度に起きていることが確認され、仮説に矛盾しない結果を得ている。
これらの結果をもとに、当該年度には論文の作成を行った。現在、論文投稿の準備中である。
こうした状況であり、研究の進捗はおおむね順調と考える。

Strategy for Future Research Activity

本研究は現在論文化を進めている段階である。
これまでの検討結果では、NUDT15遺伝子変異患者においてチオプリン代謝産物の白血球中DNAへの取り込み亢進とCD4+リンパ球のアポトーシスが野生型患者よりも多くみられることを示したが、これらの間の直接的な関係やDNAへの取り込みがアポトーシスを起こす機序については解明できていないため、今後の研究の課題と考える。

URL: 

Published: 2021-12-27  

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