2019 Fiscal Year Research-status Report
新規膵炎関連TRPチャンネル遺伝子の機能解明による治療開発基盤の構築
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19K17450
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 絵里子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90779729)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究初年度として、膵特異的TRPチャンネルノックアウトマウスの作成を進めた。ゲノム編集技術を用いて該当TRPチャンネル遺伝子のイントロンへLoxP配列を挿入し、ゲノムDNAを用いたPCRにて両アレルにLoxP配列が挿入されたfloxed個体が同定できることを確認した。Floxed個体の膵組織では明らかな炎症性変化や膵実質の萎縮などは認めなかった。Floxed個体の繁殖や生存期間、通常飼育条件下での体重増加は野生型マウスと同様であった。膵特異的にCreリコンビナーゼを発現するPdx-1-Creマウスとの交配により、膵特異的TRPチャンネルノックアウト個体を作成した。膵を含めた各臓器からゲノムDNAを抽出し、膵組織にのみCreリコンビナーゼによる組み換えが起きていることを確認した。こちらのマウスの表現型は解析途上であるが、生後早期の死亡や体重減少などは確認されていない。また、新たに若年発症慢性膵炎患者で見出されたTRPチャンネル変異につき、野生型TRPチャンネル発現ベクターへ該当変異を導入し変異体発現ベクターを構築中である。 来年度以降は膵特異的TRPチャンネルノックアウトマウスの表現型を確認し、膵組織の変化を明らかにするとともにセルレイン投与による急性膵炎モデル・慢性膵炎モデルを作成し解析を行う。KPCマウスなど、発癌モデルへのfloxedバックグランド導入も検討する。患者由来TRPチャンネル変異体の機能解析を進めるとともに、変異を再現したマウスモデル構築のためヒト・マウスで相同性が高いTRPチャンネルのドメインを同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったTRPチャンネルのコンディショナルノックアウトマウス作出に成功しており、交配も順調に進んでいる。新たな患者由来変異体の同定も進んでおり、進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
膵特異的ノックアウトマウスの表現型を明らかにするとともに、膵炎誘導モデルでの解析も実施する。患者由来変異をマウスモデルで再現するための基礎検討も推進する。
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Causes of Carryover |
本年度はモデルマウス作出に時間を要したため、未使用額が生じた。来年度以降は解析対象が増加するため、未使用額と合わせて使用予定である。
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