2021 Fiscal Year Research-status Report
歯髄幹細胞産生因子による腸肝臓器相関に着目した新規NASH治療法の開発
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19K17457
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 隆徳 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00827389)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NASH / SHED-CM / マクロファージ / 腸管透過性 / 腸肝相関 / 抗線維化 / 歯髄幹細胞 / 肝硬変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究3年目に当たり、2年目に引き続き、SHED-CMの腸管相関における影響を解析した。まずは、ELISA法により血中LPS-binding protein濃度の低下を確認した。さらに、vivoにおけるNASH肝線維化マウスモデルにおいて、FITC-dextranを用いた腸管透過性評価によって、SHED-CM治療は腸管バリア機能を保護することが確認された。回腸におけるZO-1の発現はSHED-CM群で有意に増強しており、tight junctionを保護する作用が示唆された。またSHED-CMによる腸内細菌叢への影響を確認するために、SHED-CM投与群とコントロールにおいて、次世代シークエンサーを用いて解析を行ったが、それらには有意差を認めなかった。つまり、SHED-CMは腸内細菌を変化させるということではなく、CM内のHGFをはじめとした再生因子が腸管上皮に直接的に働いて腸管透過性亢進を抑制することが明らかになった。ここまでの結果より、SHED-CMが、肝細胞の保護作用や炎症性マクロファージの活性化の抑制に加えて、腸肝軸を介して、マウスNASHモデルの線維化を抑制することを明らかにした。しかしM2マクロファージマーカーはCM投与群でも変化はなかった。これらのデータは、SHED-CMがNASHに対して多面的な治療効果を発揮する可能性を示すと考えた。以上の結果をAASLD(アメリカ肝臓学会)2021、肝臓学会総会2021にて発表し、Scientific Reports. 2021 Sep 21;11(1):18778. doi: 10.1038/s41598-021-98254-8(PMID: 34548598)に論文報告することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は目標としていた論文作成、受理を得ることができた。SHED-CM内のメカニズムの中心となる因子同定は今後の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はhepatocyteやマクロファージを用いたin vitroの系よりSHED-CM効果の中心となる因子の同定を行うためにRNA seqを中心とした解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID-19流行の影響もあり、試薬購入の遅れやエフォートの問題で、一時的に実験が遅れる時期があった。そのため139,736円の差額が発生している。病態改善に関係する因子の解析に関しては次年度へ延長することになったが、差額は全て次年度でRT-PCRやRNAseqなどの遺伝子解析にて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Conditioned medium from stem cells derived from human exfoliated deciduous teeth ameliorates NASH via the Gut-Liver axis2021
Author(s)
Hisanori Muto, Takanori Ito, Taku Tanaka, Shinya Yokoyama, Kenta Yamamoto, Norihiro Imai, Yoji Ishizu, Keiko Maeda, Takashi Honda, Tetsuya Ishikawa, Asuka Kato, Taichi Ohshiro, Fumiya Kano, Akihito Yamamoto, Kiyoshi Sakai, Hideharu Hibi, Masatoshi Ishigami, Mitsuhiro Fujishiro
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: なし
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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